2010年4月16日、抗悪性腫瘍薬のパニツムマブ(商品名:ベクティビックス点滴静注100mg)が製造承認を取得した。適応は、「KRAS遺伝子野生型の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」であり、用法・用量は「成人に2週間に1回6mg/圓60分以上かけて点滴静注」となっている。

 治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌に対しては、従来からピリミジン拮抗薬のカペシタビン(商品名:ゼローダ)、トポイソメラーゼ I 拮抗薬のイリノテカン(商品名:カンプト、トポテシン)、白金製剤のオキサリプラチン(商品名:エルプラット)などが使用されてきたが、近年になり、モノクローナル抗体の分子標的薬であるベバシズマブ(商品名:アバスチン)やセツキシマブ(商品名:アービタックス)が使用されるようになっている。

 このうちセツキシマブは、結腸・直腸癌の病因と考えられている上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)に特異的に結合し、上皮細胞増殖因子の受容体への結合を阻害することにより、腫瘍の増殖を抑制し、腫瘍縮小効果を発揮する「抗EGFRモノクローナル抗体」である。

 今回、製造承認されたパニツムマブは、セツキシマブと同じ抗EGFRモノクローナル抗体製剤であり、抗EGFRモノクローナル抗体製剤としては2成分目となる。パニツムマブは、セツキシマブがマウス抗体を一部使用したキメラ型モノクローナル抗体であるのに対し、EGFRへの親和性が高い世界初となるヒト型モノクローナル抗体である点が大きな特徴である。

 パニツムマブは、国内外の臨床試験結果で、KRAS遺伝子の野生型(変異がない状態)患者の治癒切除不能な進行・再発の結腸癌・直腸癌に対して、他の化学療法(FOLFOX4、FOLFIRIなど)との併用(一次、二次治療)や単独投与(三次治療)で有用性が認められている。海外においては、2006年9月に米国で承認されて以降、2009年12月現在、世界34カ国で承認されている。

 今回のパニツムマブの承認で、治癒切除不能な進行・再発の結腸癌・直腸癌に対する、治療の選択肢がさらに増え、治療成績も向上するものと期待される。

 薬剤の使用に際しては、単独投与及び併用投与(FOLFOX4またはFOLFIRI併用)において98〜99%と、ほぼ全症例において副作用が認められていることに注意が必要である。重大な副作用としては、重度の皮膚障害(ざ瘡様皮膚炎など)、間質性肺疾患(間質性肺炎、肺線維症、肺臓炎、肺浸潤)、重度のInfusion reaction、重度の下痢が認められている。重度(グレード3以上)の皮膚障害発現時には用量調節が、また重度(グレード3以上)のInfusion reaction発現時には投与中止が必要となる。