「メトグルコ錠250mg」の添付文書(2010年1月作成・第1版)より抜粋引用

 2010年5月10日、ビグアナイド系経口糖尿病薬のメトグルコ錠250mg(一般名:メトホルミン塩酸塩)が発売された。

 本薬は、1月20日に製造承認を取得し、4月20日に薬価収載されている。メトホルミン製剤は、古くからメルビン錠などの商品名で販売されているが、メトグルコは、従来製剤とは用法・用量などが異なっており、「新薬」の扱いとなっている。

 ビクアナイド剤は、1970年代後半にフェンホルミン(日本では未発売)による重篤な乳酸アシドーシスが問題となり、世界的に使用量が減少した。日本で中心的に使用されてきたビグアナイド剤であるメトホルミンも、乳酸アシドーシスに対する懸念などから、最高投与量が1日750mgまでとされるなど、使用が制限された状態が続いていた。

 しかし1990年代になって、世界的にビグアナイド剤が見直され、メトホルミンを使った大規模臨床試験が欧米で実施された。その結果、メトホルミンは、これまで広く使用されてきた経口糖尿病薬であるスルホニルウレア剤(SU剤)と比較しても、体重増加が認められず、インスリン抵抗性を改善する効果があるなど、メリットがあることが明らかになった。また、メトホルミン服用者での乳酸アシドーシスの発生頻度は、フェンフォルミンに比べて低いことも明らかになった。

 こうしたデータが蓄積されたことで、メトホルミンの使用頻度が高まり、欧米では2型糖尿病治療における第一選択薬として幅広く用いられるようになっている。しかし一方で、日本では、メトホルミン製剤の承認用量(1日最高用量:750mg、食後投与)が、以前のままで変わっておらず、欧米での一般的な用量(米国では1日最高用量:2550mg、食事とともに)と大きく異なる状況が続いていた。

 この差を早急に解消することを目的に、世界100カ国で使用されているメトホルミン製剤(商品名:Glucophage)を導入する形で国内臨床試験を行い、承認されたのがメトグルコである。メトグルコでは、最高投与量が2250mgとなり、服用時点も「食直前または食後」に変更されている。また、これまで禁忌とされていた「高齢者」「軽度の腎機能障害」などが、慎重投与となっている。

 現時点では、メルビン錠など、従来からあるメトホルミン製剤も販売が継続されているが、下表のように、従来製剤と新製剤では用法・用量や禁忌などが異なるため、使用にあたっては十分な注意が必要である。またメトグルコでは、高齢者などへの投与が可能になった一方で、従来通り、透析患者や妊婦などに投与禁忌となっているので、投与時にはこれまで通り、十分な確認が必要である。

表●メルビン錠とメトグルコ錠の主な相違点 (大日本住友製薬の資料を基に作成)