2010年4月16日、経口2型糖尿病治療薬のアログリプチン安息香酸塩(商品名:ネシーナ錠25mg、同錠12.5mg、同錠6.25mg)が製造承認を取得した。

 適応は「2型糖尿病」であるが、使用できるのは、(1)食事療法、運動療法のみ(2)食事療法、運動療法に加えてα−グルコシダーゼ阻害剤を使用──のいずれかで効果が得られなかった場合に限定される。常用量は、1日1回(1回25mg)で、腎機能低下がある場合は減量する。

 近年、ヒトの生理的な血糖コントロールには、食事の摂取などにより消化管から産生される「インクレチン」というホルモンが深く関与していることが明らかになっている。インクレチンには、血糖値が高い場合にはインスリン分泌を増強し、血糖値が正常あるいは低い場合にはインスリンを増強しないという特徴があるほか、グルカゴンの分泌を低下させ、肝臓における糖新生を抑制する作用があることも確認されている。

 今回、承認されたアログリプチンは、このインクレチンの分解酵素(ジペプチジルペプチターゼ-4:DPP-4)を選択的に阻害することで、インクレチンの作用を増強し、血糖値をコントロールする。同様の機序を持つ「DPP-4阻害薬」として、わが国では既にシタグリプチン(商品名:ジャヌビア、グラクティブ)とビルダグリプチン(商品名:エクア)が臨床で使用されており、本剤が3成分目となる。

 ただし、この3種類のDPP-4阻害薬は、適応が下表に示すように微妙に異なるので注意したい。

表●DPP-4阻害剤 3剤の適応の違い

■シタグリプチン(商品名:グラクティブ、ジャヌビア)
2型糖尿病
ただし、下記のいずれかの治療で十分な効果が得られない場合に限る。
(1)食事療法、運動療法のみ
(2)食事療法、運動療法に加えてスルホニルウレア剤を使用
(3)食事療法、運動療法に加えてチアゾリジン系薬剤を使用
(4)食事療法、運動療法に加えてビグアナイド系薬剤を使用


■ビルダグリプチン(商品名:エクア)
2型糖尿病
ただし、下記のいずれかの治療で十分な効果が得られない場合に限る。
(1)食事療法、運動療法のみ
(2)食事療法、運動療法に加えてスルホニルウレア剤を使用


■アログリプチン(商品名:ネシーナ)
2型糖尿病
ただし、下記のいずれかの治療で十分な効果が得られない場合に限る
(1)食事療法、運動療法のみ
(2)食事療法、運動療法に加えてα-グルコシダーゼ阻害剤を使用


 

 本剤は、国内の臨床試験で22.1%に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められたと報告されている。主な副作用は、腹部膨満、鼓腸、そう痒等であり、重大な副作用としては、低血糖症状の報告がある。

 また、ほかのDPP-4阻害薬において、スルホニルウレア系薬(SU薬)との併用で重篤な低血糖症状が出現し、意識消失を来した症例も報告されているので、使用時には患者の状態を十分観察するなど注意が必要である。