2010年4月16日、帯状疱疹後神経痛治療薬プレガバリン(商品名:リリカカプセル25mg、同カプセル75mg、同カプセル150mg)が製造承認を取得した。適応は「帯状疱疹後神経痛」で、1日2回に分けて経口投与する。初期用量は1日150mgで、その後、1週間以上かけて1日用量300mgまで漸増する。1日最高用量は600mgである。

 帯状疱疹は、神経節に潜伏した水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の回帰感染により引き起こされる疾患であり、全病期にわたって痛みを伴うことを特徴とする。具体的には、皮疹出現前の「前駆痛」に続いて、皮疹に伴って「急性期痛」が現れ、皮疹消退後も「帯状疱疹後神経痛PHN)」が残る。これらの痛みのうち、炎症による「急性期痛」と神経変性に起因した「PHN」とでは、痛みの機序や種類が全く異なっている。

 帯状疱疹の治療では、抗ウイルス剤を用いた治療とともに、急性期から痛みを十分にコントロールすることが重要とされる。神経損傷によってPHNに至ると、痛みの除去が極めて困難になるからである。PNHは、「焼けるような痛み」や「電気が走るような持続的な痛み」と表現されるような激痛であり、患者のQOLは大きく低下する。PHNの治療では、コデインリン酸塩や三環系抗うつ薬を投与したり、交感神経ブロックなどが行われるが、副作用等の問題から十分な治療が行えず、完全な除痛に至らない症例も多かった。

 今回、承認されたプレガバリンは、分子構造的には抗てんかん薬のガパペンチン(商品名:ガバペン)に類似しており、過剰に興奮した神経系において、各種神経伝達物質の放出を抑制する。具体的には、主に神経系に分布するカルシウムイオンチャネルのα2δサブユニットに結合して鎮痛作用を発揮する薬剤であり、従来の鎮痛薬とは全く異なる新しい作用機序の薬剤である。除痛効果が発現するまでの時間が短いことが特徴で、長期投与でも持続的な効果が得られることが確認されている。

 2010年4月現在、世界105の国と地域で承認されている。欧米では、プレガバリンが、PHNの薬物治療ガイドライン/アルゴリズムの第一選択薬として位置付けられおり、さらにPHN以外にも、糖尿病などによる末梢神経障害性疼痛、成人のてんかん患者における部分発作の補助治療薬としても承認されている。日本では現在、末梢神経障害性疼痛を適応とした承認申請が行われているほか、全身に我慢できないほどの痛みやしびれを引き起こす「線維筋痛症」の適応でも開発中である。

 プレガバリンは、PHNにより日常生活のQOLの低下を余儀なくされている患者にとって、有用性の高い薬剤であり、今後幅広く使用されていくものと考えられる。ただし使用に際しては、国内外の臨床試験で、副作用(臨床検査値異常を含む)が64.5%に認められていることに注意が必要である。主な副作用は、浮動性めまい(23.4%)、傾眠(15.9%)、浮腫(10.7%)などであり、重大な副作用としては、心不全、肺水腫、意識消失、横紋筋融解症、腎不全、血管浮腫などが報告されている。