2010年1月20日、筋弛緩回復薬のスガマデクスナトリウム(商品名:ブリディオン静注200mg、同静注500mg)が製造承認を取得した。適応は、「ロクロニウム臭化物又はベクロニウム臭化物による筋弛緩状態からの回復」である。

 全身麻酔においては、骨格筋を弛緩させて気管挿管を容易にするとともに、腹部や胸部手術において筋の随意運動や反射運動を抑制する目的で、非脱分極性麻酔用筋弛緩薬であるロクロニウム臭化物(商品名:エスラックス)やベクロニウム臭化物(商品名:マスキュラックス)が使用される。そして手術終了後には、術後の合併症などを防止するために、速やかで確実な筋弛緩からの回復が求められる。

 従来、この筋弛緩からの回復には、コリンエステラーゼ阻害薬のネオスチグミンメチル硫酸塩(商品名:ワゴスチグミン)と、ムスカリン性アセチルコリン受容体遮断薬のアトロピン硫酸塩を混合した静注製剤である「アトワゴリバース」などが使用されていた。しかし、本剤を使用しても、深い筋弛緩状態からの回復効果には限界がある上、徐脈や低血圧など、コリン作働性神経を介した心血管系の副作用が問題となっていた。

 今回、承認されたスガマデクスは、ロクロニウムやベクロニウムに対して選択的に直接「抱接体」を形成することで不活性化し、神経節接合部のこれら筋弛緩薬の濃度を減少させるという、新しい作用機序を持った世界初の筋弛緩回復薬である。従来薬に比べて、筋弛緩状態からの速やかな回復が得られ、コリン作動性神経系への影響も生じないのが特徴である。

 同剤は、海外では2008年7月に欧州で初めて承認されて以降、2009年9月現在、世界35カ国で承認されている。今回の日本でのスガマデクスの承認は、麻酔医などの医療従事者の利便性だけでなく、患者の術後のQOL向上にも貢献できるものとして期待されている。

 なお、これまでの臨床試験では、承認用量(2〜16mg/圈砲如投与例の11.8%に副作用が認められている。主な副作用は、悪心(2.6%)、嘔吐(1.3%)などであり、重大な副作用としては、過敏症、気管支痙攣などが報告されている。