2010年1月20日、2型糖尿病治療薬のリラグルチド(商品名:ビクトーザ皮下注18mg)が製造承認を取得した。適応は「2型糖尿病。ただし、次のいずれかの治療で十分な効果が得られない場合に限る。(1)食事療法、運動療法のみ、(2)食事療法、運動療法に加えてスルホニルウレア薬を使用」である。1日1回、朝または夕に、皮下に注射する。

 最近の研究で、血糖降下作用には食事の摂取などにより消化管から産生されるホルモン(インクレチン)が大きく関与していることが判明してきた。インクレチンは、血糖値が高い場合はインスリン分泌を増強し、血糖値が正常あるいは低い場合にはインスリンを増強しないという血糖コントロール作用を有する特徴がある。また、インクレチンは、グルカゴンの分泌を低下させ肝臓における糖新生を抑制することも確認されている。

 このインクレチンに関連した作用機序をもつ糖尿病治療薬(いわゆるインクレチン関連薬)が、昨年から今年にかけて続々と登場している。その一つは、インクレチンの分解酵素(ジペプチジルペプチターゼ‐4:DPP-4)を選択的に阻害する経口DDP−4阻害薬である。日本でも、シタグリプチン(商品名:ジャヌビア、グラクティブ、2009年10月承認)と、ビルダグリプチン(商品名:エクア、2010年1月承認)が承認を取得している。

 そして、もう一つのインクレチン関連薬が、今回承認されたリラグルチドである。リラグルチドは、代表的なインクレチンであるヒトGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)のアナログ製剤であり、GLP-1受容体のアゴニストである。GLP-1は、生体内では小腸下部のL細胞から分泌され、末梢では膵β細胞でのインスリン分泌を促進するとともに、膵α細胞でのグルカゴン分泌を抑制し、中枢では摂食抑制ホルモンとして作用する。リラグルチドは、このGLP-1の作用を、1日1回の皮下注射で補う薬剤である。本薬は、国内初のGLP-1受容体作動薬となる。

 国内での臨床試験でリラグルチドは、患者に肥満があるかどうかとは無関係に、体重増加を来すことなく、優れた血糖コントロール効果を示すことが確認されている。海外では、2009年6月にEU(欧州連合)27カ国で販売承認を受けて以降、これまでに英国、ドイツ、デンマークなどで承認されている。なお米国でも、今年1月28日に販売承認を取得している。

 リラグリチドの承認で、注目のインクレチン関連薬に新たな選択肢が登場したことになり、今後、糖尿病患者のアドヒアランス向上に寄与するものと期待されている。なお、国内での臨床試験では、33.7%に何らかの副作用(臨床検査値異常を含む)が報告されている。主な副作用は、便秘(5%以上)などであり、重篤な副作用としては、低血糖、膵炎に注意が必要である。