2010年1月20日、経口2型糖尿病治療薬のビルダグリプチン(商品名:エクア錠50mg)が製造承認を取得した。適応は「2型糖尿病。ただし、次のいずれかの治療で十分な効果が得られない場合に限る。(1)食事療法、運動療法のみ。(2)食事療法、運動療法に加えてスルホニルウレア剤を使用」、用法・用量は「1回50mgを、1日2回(朝・夕)に経口投与、患者の状態に応じて1日1回朝に経口投与できる」である。

 生体の血糖コントロールには、食事の摂取などにより消化管から産生される「インクレチン」というホルモンが関与していることが判明している。インクレチンは、血糖値が高い場合にはインスリン分泌を増強し、血糖値が正常あるいは低い場合にはインスリン分泌を増強しない。またインクレチンは、グルカゴンの分泌を低下させ、肝臓における糖新生を抑制することも確認されている。

 今回、承認されたビルダグリプチンは、昨年12月に発売されたシタグリプチン(商品名:グラクティブ、ジャヌビア)と同じ、インクレチンの分解酵素(ジペプチジルペプチターゼ-4:DPP-4)を選択的阻害する薬剤である。インクレチンの分解酵素であるDPP-4の働きが阻害されることで、血中インクレチン濃度が高まり、高血糖時に膵β細胞からのインスリン分泌を促進するのである。

 国内の臨床試験では、1日1回50mg単独投与により、プラセボと比較して1.2%のHbA1C値低下作用があったことが確認されている。また、約5割の患者が治療目標値(HbA1C 6.5%未満)を達成するなど、優れた有効性が証明されている。

 さらに、ほかの糖尿病治療薬との併用療法を含む国内臨床試験全体での低血糖発現率は1.0%であったこと、体重増加も起こしにくいことが認められている。海外では2009年11月現在、EU(欧州連合)、韓国、シンガポールなど世界69カ国で承認されている。

 臨床試験では、27.2%に副作用および臨床検査値異常が認められている。主な副作用は、空腹(3.4%)、便秘(3.1%)、無力症(2.2%)など。また、重大な副作用として、肝炎、肝機能障害、血管浮腫、低血糖症が報告されている。

 なお、先行して発売されているシタグリプチンとビルダグリプチンは、下表に示すように適応に違いがある。また用法も、シタグリプチンは1日1回投与と定められているのに対し、ビルダグリプチンは1日2回投与を基本とし、患者の状態によって1日1回でも可、という形になっている。

表●DPP-4阻害剤 2剤の適応の違い

■シタグリプチン(商品名:グラクティブ、ジャヌビア)
2型糖尿病
ただし、下記のいずれかの治療で十分な効果が得られない場合に限る。
(1)食事療法、運動療法のみ
(2)食事療法、運動療法に加えてスルホニルウレア剤を使用
(3)食事療法、運動療法に加えてチアゾリジン系薬剤を使用
(4)食事療法、運動療法に加えてビグアナイド系薬剤を使用

■ビルダグリプチン(商品名:エクア)
2型糖尿病
ただし、下記のいずれかの治療で十分な効果が得られない場合に限る。
(1)食事療法、運動療法のみ
(2)食事療法、運動療法に加えてスルホニルウレア剤を使用