2010年1月20日、緑内障・高眼圧症治療薬のラタノプロスト・チモロールマレイン酸塩(商品名:ザラカム配合点眼液)が製造承認を取得した。本薬は、従来から使用されているプロスタグランジンF2α誘導体のラタノプロスト(商品名:キサラタン)と、β遮断薬であるチモロールマレイン酸塩(商品名:チモプトール、リズモンなど)とを配合した点眼剤である。複数の有効成分を配合した点眼剤は、緑内障・高眼圧治療薬の領域では日本初である。用法・用量は「1回1滴、1日1回点眼」となっている。

 緑内障は、「視神経乳頭、視野の特徴的変化の少なくとも一つを有し、通常、眼圧を十分に下降させることにより視神経障害の改善あるいは進行を阻止し得る眼の機能的構造的異常を特徴とする疾患」と定義されている。病状が進行すると視神経が損傷を受け、視野が徐々に欠けていき、放置すると失明の危険がある。日本では40歳以上の20人に1人が発症しており、視覚障害の原因の第1位となっている。緑内障の中には、眼圧が上昇しないタイプ(正常眼圧緑内障)も多いことから、未治療の患者も多く、早期発見・早期治療が重要とされる。

 治療では、眼圧を下げることが主目的となる。薬物療法では、房水の流出を抑制する作用を持つプロスタグランジン誘導体と、房水産生抑制作用を持つβ遮断薬の点眼剤が主に使用される。ただし、この2剤のうち、1剤だけで長期間眼圧をコントロールすることには限界があり、しばしば2剤が併用される。その際、2剤を続けて点眼すると涙嚢から薬液があふれ出してしまうため、点眼間隔を5分間以上空けるように指導するのが一般的である。だが、この5分間の待ち時間が原因で2剤目の点眼を忘れてしまい、コンプライアンス低下を招く場合があった。

 今回、承認されたザラカムは、1日1回の点眼で効果が24時間継続する。薬効についても、従来のラタノプロスト(1日1回)とチモロール(1日2回)を併用した場合と同程度の眼圧下降効果があったことが報告されている。ザラカムは、海外では、2000年にスウェーデンで承認されて以降、100カ国以上で承認されている。

 ザラカムは、時間を置いて2種類を順番に点眼するという不便さから解消されるとともに、2剤目の点眼忘れによるコンプライアンス低下も防げることから、2種類の点眼剤の併用が必要な患者にとっては、有用な点眼剤といえるだろう。

 国内での臨床試験では、25.4%に何らかの副作用が発現したことが報告されている。主な副作用は、眼刺激(15.9%)、点状表層角膜炎(3.0%)、結膜充血(2.0%)、角膜炎(1.5%)、ALT上昇(1.0%)などである。また、既存のβ遮断薬点眼剤と同様に、禁忌(気管支喘息、気管支痙攣、重篤な慢性閉塞性肺疾患、コントロール不十分な心不全、洞性徐脈、房室ブロック(II・III度)、心原性ショック)となる患者の事前チェックが必要になる。