2010年1月13日、抗インフルエンザウイルス薬ペラミビル水和物(商品名:ラピアクタ点滴用バッグ300mg、同点滴用バイアル150mg)が製造承認を取得した。近く薬価収載され、1月中にも発売される見込みである。適応は「A型又はB型インフルエンザウイルス感染症」で、用法・用量は「300mgを15分以上かけて単回点滴静注する。合併症等により重症化するおそれのある患者には1日1回600mgを同様に点滴静注するが、症状に応じて連日反復投与が出来る」となっている。

 ペラミビルは、これまで使用されてきた抗インフルエンザウイルス薬である経口製剤のオセルタミビルリン酸塩(商品名:タミフル)や、吸入製剤のザナミビル水和物(商品名:リレンザ)と同様に、ヒトインフルエンザウイルス(A型およびB型)のノイラミニダーゼを選択的に阻害する。その結果、細胞内で増殖した子孫ウイルスが感染細胞の表面から遊離するステップが阻害され、ウイルスが別の細胞へ拡散し増殖するのを予防する。

 ペラミビルの最大の特徴は、これまでにはなかった「点滴静注用製剤」であることである。経口投与が困難な患者や、吸入剤をうまく吸入できない高齢者などに適している。また投与は、15分程度の1回の点滴静注だけで治療が完結するため、患者の利便性が高く、服薬コンプライアンスの問題も起こらない点も利点である。

 ペラミビルは、日本では2009年10月に承認申請されたばかりであったが、世界的に新型インフルエンザが流行していたことが考慮され、過去に例を見ないほどの速さで承認された。ちなみに、本剤が開発された米国においては、ペラミビルはあくまでも新型インフルエンザ流行に伴う緊急措置(経口剤および吸入剤のいずれも奏功しない症例など)として許可(EUA:緊急使用許可)が発出されただけで、2010年1月19日現在、正式な承認取得には至っていない。

 今回、世界で初めて承認された点滴静注製剤のペラミビルは、新型インフルエンザ感染症治療の新たな選択肢として、臨床現場から期待されている薬剤である。ただし本剤は、迅速な承認審査を優先したことから、製造・販売後の一定期間は、薬剤投与の全例把握を通じて安全性確保の対応を行うことが義務づけられている。

 また、国内での臨床試験結果では、24.7%に副作用が認められていることに十分注意しなければならない。現時点で報告されている主な副作用としては、下痢(5.8%)、好中球減少(2.8%)、蛋白尿(2.5%)などであり、重大なものとしては白血球減少、好中球減少(どちらも1〜5%未満)が認められている。なお、承認時点では、小児への適応は認められていないものの、小児での臨床試験も終了していることから、今後、早急に小児の適応も追加承認も行われるものと見られている。