2009年12月11日、遺伝子組換え血液凝固第IX因子製剤のノナコグアルファ(商品名:ベネフィクス静注用500、1000、2000)が薬価収載された。本薬は、既に10月16日に製造承認を取得している。適応は「血友病B先天性血液凝固第IX因子欠乏症)患者における出血傾向の抑制」であり、添付されている溶解液で溶解し、数分間かけて静脈内注射する。

 血友病Bは、血液凝固第IX因子(FIX)の量的あるいは質的異常により生じる、血漿中FIX活性の低下による先天性出血疾患(希少疾病)である。具体的な症状としては、深部組織からの滲み出るような出血が特徴で、出血部位の大部分は皮下血腫、関節内出血、筋肉内出血である。

 日本での血友病Bの有病率は、男性10万人あたり約1人と推定されており、患者数は約900人と推定されている。治療は、出血時に速やかに必要量のFIX製剤を投与する補充療法が基本となる。現在、臨床使用されているFIX製剤としては、乾燥濃縮人血液凝固第IX因子製剤(商品名:クリスマシンM、ノバクトM)と、乾燥人血液凝固第IX因子複合体製剤(商品名:PPSB-HT)がある。しかし、これらの薬剤はヒト血漿を原材料としていることから、生物原料基準に規定されているウイルス不活化/除去処理によっても、ヒト血漿に由来する既知もしくは未知の病原体の理論的な感染リスクを、完全には除去できないという安全性の面から危惧されていた。

 今回、薬価収載されたノナコグアルファは、遺伝子組換え技術によりチャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて製造された製剤である。製造工程において細胞株以外の動物由来原材料を使用していないことから、HIVや肝炎など血漿由来の感染症リスクを軽減されている。また本製剤は、溶解液(5mL)を充填したプレフィルド・シリンジを同梱しており、準備や注射にかかる時間が短縮されているのも特徴の一つである。海外では、1997年に米国で承認されて以降、2009年5月現在、欧州連合(EU)を含む世界50カ国以上の国と地域で承認されている。

 本薬は、既存のFIX製剤に比べて安全性が優れていることから、今後、日本においても、血友病Bの治療薬として広く使用されていくものと考えられる。ただし投与に際しては、国内での治験症例が極めて限られていることから、一定数のデータが集積されるまで、全投与症例を対象とした使用成績調査が行われることを把握しておかなければならない。