2009年12月11日、ニューキノロン系抗菌薬であるトスフロキサシントシル酸塩水和物の小児用製剤(商品名:オゼックス細粒小児用15%)が薬価収載された。本剤は、10月16日に製造承認を取得しており、2010年1月12日に発売が予定されている。

 トスフロキサシンは、成人用製剤として錠剤(1990年7月)と点眼剤(2006年5月)が使用されている。今回の小児用細粒の適応は、「トスフロキサシンに感受性の肺炎球菌(ペニシリン耐性肺炎球菌を含む)、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーシス、炭疽菌、コレラ菌、インフルエンザ菌による肺炎、コレラ、中耳炎、炭疽」であり、用法・用量は「小児に1日12mg/圓2回に分けて経口投与」となっている。

 近年、小児感染症領域において、ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)やβラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性インフルエンザ菌(BLNAR)といった、薬剤耐性菌の分離頻度が高くなってきている。また、小児に対するニューキノロン系抗菌薬としては、既にノルフロキサシン(商品名:バクシダール)の錠剤が臨床現場で使用されているが、肺炎や中耳炎の適応を持っていない。こうしたことから小児医療の現場では、小児の肺炎や中耳炎に適応を持ち、PRSPやBLNERなどの耐性菌にも有効な、新たなキノロン系抗菌薬の登場が熱望されていた。

 今回、薬価収載されたトスフロキサシンの小児用製剤は、小児の肺炎と中耳炎に適応を持つ日本で初めてのニューキノロン系薬剤であり、現時点では海外でも発売されていない。本剤は、小児の肺炎や中耳炎における難治例などに対する新たな選択肢として、今後使用されていくものと考えられる。

 ただし、トスフロキサシンなどのニューキノロン系薬では、小児における関節毒性が、非臨床試験及び海外臨床試験などで認められている。今後、トスフロキサシン小児用細粒の広く使用されるようになると、関節障害の副作用を来す症例が出現してくる可能性がある。したがって、本剤は、個々の症例においてリスクとベネフィットを十分に考慮し、ほかの経口抗菌薬による治療効果が期待できない場合に限って使用する姿勢が必要であろう。

 承認までの臨床試験における副作用(臨床検査値異常を含む)は、26.38%に認められている。主なものは、下痢(5.53%)、嘔吐(4.26%)、傾眠・発熱・食欲不振・腹痛(それぞれ2.13%)であった。なお、今回の小児用細粒の登場に合わせ、整合性を取る意味で、錠剤の適応菌種の「肺炎球菌」が「肺炎球菌(ペニシリン耐性肺炎球菌を含む)」に変更され、禁忌の欄から小児に関する項目が削除されている。