2009年10月16日、潰瘍性大腸炎治療薬の「アサコール錠400mg」(一般名:メサラジン)が製造承認を取得した。適応は「潰瘍性大腸炎(重症を除く)」であり、用法・用量は「1日2400mg(6錠)を3回に分割して食後投与、活動期には1日3600mg(9錠)を3回分割して投与」である。なお、潰瘍性大腸炎に適応を持つメサラジン(5-アミノサリチル酸:5-ASA)製剤としては、1996年に発売されたペンタサなどがあるが、後述するように、アサコールとペンタサは5-ASAの放出制御機構が異なっている。

 潰瘍性大腸炎(UD)は、大腸の粘膜に炎症が生じ、潰瘍やびらんが肛門から口側に向かって連続的に発現する疾患である。若年者(20歳前後がピーク)に好発する。同じ部位に起こる肉芽腫性炎症病変のクローン病(CD)も、病態や治療方針などに似た面があることから、潰瘍性大腸炎と併せて「(非特異性)炎症性腸疾患」(IBD)と呼ばれる。

 潰瘍性大腸炎は、激しい腹痛や下痢などの症状が現れる「活動期」と、症状がほとんど消失している「寛解期」を繰り返し、生涯にわたり医療管理を必要とする難治性疾患である。近年、日本でも増加傾向にあり、厚生労働省の特定疾患に指定されている。

 薬物治療では、活動期の重症例にはステロイド薬やアザチオプリン(商品名:イムランなど)などの免疫抑制薬が使われるほか、軽症から中等症では、5-ASA製剤のペンタサや、サラゾスルファピリジン(商品名:サラゾピリン)などが使用されている。

 アサコールと、従来から使用されている5-ASA製剤であるペンタサとの最大の違いは、その「放出制御機構」である。5-ASAは、そのまま服用すると小腸上部で大半が吸収されてしまうため、ペンタサでは、5-ASAを腸溶性のエチルセルロースの多孔性被膜でコーティングすることで、小腸から大腸までの広い範囲で放出されるように調節されている。

 一方のアサコールは、5-ASAに、pH依存型の放出制御特性を持つコーティングが施されている。このコーティングは、pH7以上で崩壊する高分子ポリマーででできており、ペンタサに比べて、より下部の消化管(回腸末端〜大腸)に到達してから5-ASAが放出される。

 このことから、病変が大腸に限局している炎症性腸疾患をはじめ、炎症性腸疾患の下部消化管病変に、特に有効性が高いと期待されている。海外では、1984年にスイスで承認されて以降、2009年6月現在で世界64カ国(地域)で承認されている。

 国内の臨床試験では、48.5%に何らかの副作用もしくは臨床検査値異常が認められている。主な副作用としては、腹痛(2.9%)、下痢(2.1%)、頭痛・腹部膨満・炎症性腸疾患の悪化(それぞれ1.3%)であり、臨床検査値異常としては尿中N-アセチルグルコサミニダーゼ(NAG)増加(13.0%)、好酸球増加(7.9%)、血清ビリルビン増加(7.9%)、直接ビリルビン増加(7.9%)、CRP増加(6.7%)などである。