2009年10月16日、経口2型糖尿病治療薬のシタグリプチンリン酸塩水和物(商品名:ジャヌビア錠25mg、同50mg、同100mg、グラクティブ錠25mg、同50mg、同100mg)が製造承認を取得した。標準用量は、1日1回50mgで、効果不十分な場合には1日1回100mgまで増量できる。

 適応は、「2型糖尿病。ただし、次のいずれかの治療で十分な効果が得られない場合に限る。(1)食事療法、運動療法のみ。(2)食事療法、運動療法に加えてスルホニルウレア剤を使用。(3)食事療法、運動療法に加えてチアゾリジン系薬剤を使用。(4)食事療法、運動療法に加えてビグアナイド系薬剤を使用」となっている。

 2型糖尿病は、インスリンの産生・分泌が低下したり、分泌されたインスリンが十分に機能しないことにより、相対的にインスリンが不足し、慢性的な高血糖状態が起こる代謝性疾患である。日本国内の糖尿病患者は年々増加傾向にあり、最近の調査では、糖尿病が強く疑われる人は約890万人にものぼるといわれている。

 最近の研究で、血糖降下作用を持つインスリンの分泌には、食事の摂取などにより消化管から産生されるホルモン「インクレチン」が関与していることが明らかになってきた。インクレチンは、血糖値が高い場合にはインスリン分泌を促進するが、血糖値が正常あるいは低い場合にはインスリン分泌に影響を与えないという、インスリン分泌調節機能を持っている。また、インクレチンは、膵臓からのグルカゴン分泌を低下させ、肝臓における糖新生を抑制することも確認されている。

 今回、承認されたシタグリプチンは、このインクレチンの分解酵素である「ジペプチジルペプチターゼ-4」(DPP-4)を選択的に阻害する薬剤である。従来の経口糖尿病治療薬とは異なり、インクレチンを活性化することで血糖値をコントロールするという新しい作用機序を持つことから、注目を集めている。

 国内の臨床試験では、1日1回の単独投与により1.0%のHbA1c低下作用が認められている。また、グリメピリド(商品名:アマリール)、ピオグリタゾン(商品名:アクトス)、メトホルミン(商品名:メルビン、メデット、グリコランほか)といった経口糖尿病治療薬との併用により、良好なHbA1c値低下作用を示したことが報告されている。

 海外では、2006年8月に世界初のDPP-4阻害薬としてメキシコで承認されて以降、2009年10月現在、米国、欧州、アジアの各国を含む世界80カ国以上で、のべ1000万人以上の患者に使用されている。今回、日本でもシタグリプチンが承認されたことにより、2型糖尿病治療に使用できる新たなる選択肢が増えたことになる。

 なお臨床試験では、8.1%の副作用および4.1%の臨床検査値異常が認められている。主な副作用および臨床検査値異常は、低血糖(1.4%)、便秘(1.0%)、ALT増加(1.5%)、AST増加(1.0%)、γ-GPT増加(0.8%)などである。また重大な副作用として添付文書には、アナフィラキシー反応、皮膚粘膜眼症候群、剥離性皮膚炎、低血糖症が挙がっている。