2009年9月17日、抗HIV薬ダルナビル エタノール付加物(商品名:プリジスタナイーブ錠400mg)が発売された。適応症は、「HIV感染症」(治療経験のないもの)で、用法・用量は「成人に1回800mgとリトナビル1回100mgをそれぞれ1日1回食事中または食直後に併用投与。投与にあたっては、必ず他の抗HIV薬と併用すること」となっている。

 ダルナビルは、HIVの増殖に必要な蛋白分解酵素プロテアーゼ(HIV-1プロテアーゼ)を阻害することで抗HIV作用を発揮するHIVプロテアーゼ阻害薬である。これまでのプロテアーゼ阻害薬は、プロテアーゼの一部であるアミノ酸側鎖に結合するため、このアミノ酸に変異が起こると薬効がなくなるという欠点があった。これに対してダルナビルは、アミノ酸が変異しても影響のないプロテアーゼの主要なアミノ酸部位(主鎖)に作用するため、耐性が生じにくい特性を有している。

 ダルナビル自体は、多剤耐性HIVに有効な新しい抗HIV薬として、2006年6月に米国で、2007年2月に英国を含む欧州で承認され、日本でも300mg製剤(商品名:プリジスタ錠300mg)が、2007年11月に承認されている。

 抗HIV治療では、適切な治療開始時期や適切な薬剤の組み合わせが治療効果に大きく影響する。ダルナビルの既存の300mg製剤は、海外において、抗HIV薬治療歴のある患者を対象とした臨床試験(リトナビルと併用)の結果で有効性が高いことが実証されているが、未治療のHIV患者での有効性に対しては検証されていなかった。

 そこで、海外で未治療及び既治療患者を対象とした2つの第3相比較試験(C211試験及びC214試験)が実施された結果、未治療のHIV患者に対する400mg製剤投与の効果が確認され、2008年10月米国で承認され、日本でも2009年8月に承認となった。2009年7月現在、世界34の国または地域で承認されている。

 使用に際しては、ブースターとして併用するリトナビルに加え、ほかの抗HIV薬を併用する必要があることを理解しておく必要がある。なお、海外での臨床試験などでは、副作用が65.9%認められており、主な副作用として、下痢(23.7%)、悪心(14.9%)、頭痛(13.8%)、発疹(10.3%)が報告されている。また、ダルナビル製剤には2規格あり、それぞれに適応患者と用法・用量が異なることをきちんと理解しておきたい。