2009年9月18日、腎機能検査用薬のインジゴカルミン(商品名:インジゴカルミン注20mg)と、肝・循環機能検査用薬のインドシアニングリーン(商品名:ジアグノグリーン注射用25mg)に「乳癌、悪性黒色腫におけるセンチネルリンパ節の同定」という適応が追加された。

 また、インジゴカルミンについては、2008年3月、医療事故防止対策で「インジゴカルミン注」から「インジゴカルミン静注20mg」に商品名を変更していたが、今回の追加された適応では皮下投与となることから、2009年6月に「インジゴカルミン注20mg」に再度、商品名の変更が行われている。

 センチネルリンパ節とは、癌の原発巣からリンパ節に侵入した癌細胞が最初に到達するリンパ節のことであり、領域リンパ節のうち、最も転移の可能性が高い。したがって、このセンチネルリンパ節を同定・生検し、癌転移が確認されなければ、それ以外のリンパ節にも転移していない可能性が高いと考えられ、不要なリンパ節郭清(リンパ節を取り除くこと)を回避できる。この生検のことを、「センチネルリンパ節生検」という。

 センチネルリンパ節を同定する方法としては、色素を注入し染色されたセンチネルリンパ節を肉眼で同定する「色素法」と、放射性コロイドを注入して放射能を検出してセンチネルリンパ節を同定する「ラジオアイソトープ法」の2種類があり、これらが単独で使用、または併用される。

 乳癌や悪性黒色腫では、国内外の治療ガイドラインでも、センチネルリンパ節生検が標準的な手技として記載されており、日本でも有用性が多く報告されている。しかし現状では、センチネルリンパ節の検索が保険適用されておらず、先進医療としての施行に限定されていた。

 そこで日本乳癌学会と日本皮膚科学会は、2009年3月、厚生労働大臣宛に早期承認(保険適用)の要望が提出した。製薬会社も、これら学会の要望に沿う形で、多施設共同研究の中間結果と公表文献を基に適応追加を申請し、今回、2種類の色素系検査薬が「センチネルリンパ節の同定」に使用可能となった。

 具体的には、これら色素系検査薬を単独、またはラジオアイソトープ製剤(99m-Tcなど)と併用し、乳癌および悪性黒色腫のセンチネルリンパ節の同定に用いることになる。ただし、検査薬は適応を取得したものの、現状では「センチネルリンパ節の同定と転移の検索」は先進医療の扱いのままである。

 今後、「センチネルリンパ節の同定と転移の検索」に診療報酬点数が設定され、日本でもセンチネルリンパ節生検が普及すれば、不要なリンパ節郭清が減少して、患者の負担が大きく軽減されることが期待できる。

 ただし、これら色素系検査薬を使用する場合には、これまで通り、重大な副作用である「ショック」の発現に十分な注意が必要である。具体的には、ショックが起こり得ることを考慮し、検査法に十分な知識と経験を有する医師の下で、実施が適切と判断される症例にのみ検査を実施する。また、検査薬注入から検査終了までは患者を安静にさせ、観察を十分に行うことも必要となる。