2009年7月7日、緑内障・高眼圧症治療薬のビマトプロスト(商品名:ルミガン点眼液0.03%)が製造承認を取得した。適応症は「緑内障高眼圧症」であり、用法・用量は「1回1滴、1日1回点眼」である。

 日本眼科学会の『緑内障診療ガイドライン(第2版)』によると、「緑内障は、視神経と視野に特徴的変化を有し、通常、眼圧を十分に下降させることにより視神経障害を改善もしくは抑制しうる眼の機能的構造的異常を特徴とする疾患」と定義されている。

 緑内障の治療では、患者の視機能を維持することが目的となる。視機能は、一旦障害されると回復することはないため、緑内障では早期発見・早期治療が重要となる。現時点で、緑内障に対するエビデンスに基づいた唯一の治療は、眼圧を下げることであり、その中心的役割を果たすのが各種の緑内障用点眼剤である。

 緑内障治療に使用される点眼剤としては、強力な眼圧降下作用を有するチモロールマレイン酸塩(商品名:チモプト―ル)などのβ遮断薬が中心的な薬剤として使用されてきたが、β遮断薬は肺疾患の患者には禁忌または慎重投与であり、さらにめまいや抑うつなど副作用が問題となっている。近年になって、β遮断薬に加えて、ラタノプロスト(商品名:キサラタン)などのプロスタグランジン(PG)関連製剤も広く使用されるようになっている。

 今回、承認されたビマトプロストは、内因性の生理活性物質であるプロスタマイドF2αに類似した構造を有する化合物であることから、「プロスタマイド誘導体」と呼ばれている。ぶどう膜強膜流出路からの房水排出を促進することで眼圧を低下させるという作用メカニズムは、PG関連製剤と同様であるが、PG関連製剤がFPレセプターを介して作用を発現するのに対し、プロスタマイド誘導体であるビマトプロストは、プロスタマイドレセプターに作用するのが特徴である。

 臨床試験では、原発開放隅角緑内障(POAG)、高眼圧症(OH)、正常眼圧緑内障(NTG)に対して、長期にわたる安定した眼圧降下作用が認められたことが報告されている。

 ビマトプロストは、2008年2月現在、欧米を含む世界73カ国の国と地域で発売されている。副作用は、臨床試験では80.19%に認められており、主なものとしてはまつ毛の異常(46.13%)、結膜充血(45.51%)、眼瞼色素沈着(19.20%)などである。また重大な副作用として、虹彩色素沈着が12.38%と比較的高頻度に認められているので、注意が必要である。