2009年7月7日、前立腺肥大症治療薬デュタステリド(商品名:アボルブカプセル0.5mg)が製造承認を取得した。用法・用量は「1回0.5mgを1日1回経口投与」である。

 前立腺肥大症の治療では、肥大や症状の程度に応じて、経尿道的前立腺切除術に代表される外科的治療や、高温度療法や尿道留置ステント療法などの低侵襲性治療が適用されるが、軽症例から中等症の患者には、薬物療法が選択されるケースも多い。

 薬物療法においては、タムスロシン塩酸塩(商品名:ハルナールDほか)に代表されるα1受容体遮断薬を中心に、クロルマジノン酢酸エステル(商品名:プロスタールほか)などの抗アンドロゲン薬、植物エキス配合薬、漢方製剤などが使用される。

 中でも、α1受容体遮断薬は、前立腺の平滑筋を弛緩することで尿道抵抗を低下させ、排尿障害を改善する薬剤として、現在、前立腺肥大症の治療薬として第一選択薬となっている。だが同薬は、自覚症状を改善するものの、前立腺を縮小する作用は持っていない。

 一方、抗アンドロゲン薬は、前立腺の縮小効果はあるものの、勃起不全を引き起こしたり、前立腺癌のマーカーである血清PSA(前立腺特異抗原)値を低下させ、前立腺癌の早期診断を困難にするという問題が指摘されている。これらのことから、臨床現場では、既存薬以上に高い有効性と安全性を有した新しい作用機序の薬剤が望まれていた。

 今回、承認されたデュタステリドは、男性ホルモンのテストステロンをより活性の高いジヒドロテストステロンに変換する5α還元酵素の1型と2型を阻害する薬剤であり、その作用から「5α還元酵素阻害薬」に分類される。5α還元酵素の阻害により、肥大した前立腺の縮小を図るとともに、下部尿路症状を軽減したり、尿流を改善する。

 海外では、2001年11月に米国、2002年7月に欧州で承認されて以降、2009年3月現在、世界85カ国で承認されている。なお、同じ「5α還元酵素阻害薬」としては、既にフィナステリド(商品名:プロペシア、薬価基準未収載)が「男性における男性型脱毛症の進行遅延」を適応症して臨床使用されているが、前立腺肥大症に適応を持つ5α還元酵素阻害薬としては、デュタステリドが日本初となる。

 今後、デュタステリドは、前立腺肥大症治療における新たな選択肢として、広く使用されていくものと推測される。ただし使用に際しては、国内臨床試験において副作用(臨床検査値異常を含む)が10.9%に報告されていることにも留意が必要である。主な副作用としては、勃起不全(3.2%)、リビドー減退(1.7%)、乳房障害(1.5%)が報告されている。