2009年4月22日、注意欠陥/多動性障害治療薬のアトモキセチン塩酸塩(商品名:ストラテラカプセル5mg、同10mg、同25mg)が製造承認を取得した。適応は「小児期における注意欠陥/多動性障害(AD/HD)」である。AD/HDに適応を持つ薬剤としては、2007年12月に発売された塩酸メチルフェニデート(商品名:コンサータ)に続き、2剤目となる。

 AD/HDは、小児期に発症し、不注意や多動性・衝動性を中心的な症状とする発達障害の一つである。国内の患者数は、2002年の文部科学省の大規模調査で3%(行動面で著しい困難が見られる学童)と報告されているほか、別の調査では7%と報告されている。小児期にAD/HDと診断された患者の半数以上が、成人になっても症状が継続し、日常生活や社会生活上の困難を引き起こすことから、早期診断と治療的介入が必要とされている。

 治療では、「環境調整」や「ソーシャルスキルトレーニング」といった非薬物療法とともに、中枢神経刺激薬の塩酸メチルフェニデートが使用される。

 今回、承認されたアトモキセチンは、ノルアドレナリンの再取り込み阻害を主作用とする世界初の非中枢刺激薬である。この特性から、依存や乱用のリスクが低く、中枢神経刺激薬が無効だった患者にも有効なのではないかと期待されている。アトモキセチンの効果は、投与開始後2週間程度で発現し始め、6〜8週間で十分な効果が発揮されることが確認されている。

 海外では、2003年1月に米国で承認されて以降、2009年2月現在で84カ国で承認されており、約700万人に使用されている。また、海外の主要なAD/HD治療ガイドラインでアトモキセチンが第一選択薬に位置付けられていることなどから、2008年4月、日本の3学会(日本小児神経学会、日本小児精神神経学会、日本小児心身医学会)が、早期承認の要望書を厚生労働省へ提出していた。

 今後、AD/HDの治療において、アトモキセチンの使用量は増えていくものと予測されるが、使用に当たっては副作用に十分に注意したい。国内臨床試験で頻度が高かった副作用は、頭痛、食欲減退、傾眠、腹痛、悪心などであり、中でも、食欲減退と嘔吐については、統計学的に有意な用量反応性が認められている。また添付文書には、重大な副作用として、肝機能障害、黄疸、アナフィラキシー様症状(血管神経性浮腫、蕁麻疹)が記載されている。