2009年4月22日、持効性抗精神病薬のリスペリドン筋注用製剤(商品名:リスパダ−ルコンスタ筋注用25mg、同37.5mg、同50mg)が製造承認を取得した。薬価収載後に発売される見込みである。通常は、1回25mgを2週間間隔で臀部筋肉内投与する。適応は、統合失調症である。

 抗精神病薬は、その作用機序から「定型抗精神病薬」と「非定型抗精神病薬」に分類される。クロルプロマジン(商品名:ウインタミンほか)やハロペリドール(商品名:セレネースほか)に代表される定型抗精神病薬は、主にドパミンD2受容体を遮断することで抗幻覚作用などを発揮するが、この抗ドーパミン作用に起因する錐体外路症状(パーキンソン症候群、アカシジア、ジスキネジアなど)が副作用として問題になる。

 これに対して非定型抗精神病薬は、錐体外路症状の副作用が起こりにくく、陽性症状(幻覚、妄想など)だけでなく陰性症状(感情的引きこもり、情動鈍麻など)にも有効であることも特徴である。最近は、この非定型抗精神病薬が、統合失調症治療の第一選択薬となっている。

 非定型抗精神病薬の一つであるリスペリドンは、その作用機序から「セロトニン・ドパミン遮断薬」(SDA)に分類されている。同薬は、ドパミンD2受容体拮抗作用に加えて、セロトニン5-HT2受容体にも選択的な拮抗作用を示す。5-HT2受容体を同時に遮断することにより、D2受容体の過度な抑制が解除され、錐体外路症状が起こりにくくなると考えられている。リスペリドンは、日本では1996年に錠剤(1mg、2mg)と細粒1%が発売され、その後、2002年12月には内用液1mg/mL、2007年3月には口腔内崩壊(OD)錠が発売されている。

 今回承認されたリスペリドンの持効性注射剤は、生体内分解性ポリマーを用いて極小の球状製剤(マイクロスフェア)に薬物本体を封入した製剤である。専用懸濁溶液で懸濁してから筋注する。この筋注されたリスペリドンがは血中に徐々に放出されるため、「2週間に1回」という投与法が可能になっている。海外では、2002年にドイツと英国で承認されて以降、2008年12月現在で世界92の国と地域で承認されている。

 日本では、このリスパダールコンスタが、非定型抗精神病薬としては初めての持効性注射製剤となる。一般に統合失調症は、長期にわたる維持療法が必要であり、服薬コンプライアンスの低下が精神症状の再発・再燃につながり得ることから、2週間に一度、通院時の投与で済む本薬のメリットは大きい。

 使用に当たっては、経口製剤で認められている主な副作用(血中プロラクチン増加、不眠症、体重増加など)に十分に注意する。また本薬は、十分な血中濃度に至るまで3週間ほどかかるため、初回投与から3週間は経口の抗精神病薬を併用する必要がある点にも留意したい。