2009年5月20日、代謝拮抗性抗悪性腫瘍薬のペメトレキセドナトリウム水和物(商品名:アリムタ注射用500mg)の適応が追加され、「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」にも使用が可能になった。また同日に低用量製剤の「アリムタ注射用100mg」も承認されており、薬価収載後に発売される見込みである。

 ペメトレキセドは、癌細胞のプリンおよびピリミジン・ヌクレオチドのde novo合成に必要な複数の葉酸代謝酵素を同時に阻害することで、抗悪性腫瘍効果を発揮する。日本では、2007年1月に悪性胸膜中皮腫の治療薬として承認され、発売されている。

 今回ペメトレキセドで適応追加が認められた肺癌は、わが国の癌の部位別死亡者数の第1位となっている。肺癌は、小細胞癌と非小細胞癌に大別され、8割以上を非小細胞癌が占める。非小細胞癌に対する治療では、シスプラチン(商品名:ランダ、ブリプラチンほか)に代表される白金製剤など、幾つかの化学療法剤が承認され使用されているが、それでも難治例が少なくなく、新たな選択肢が求められている。

 ペメトレキセドの非小細胞肺癌に対する有効性や安全性については、米国およびEU(欧州連合)で、ドセタキセル(商品名:タキソテール)と比較した第3相試験が実施されており、その結果を受けて米国では2004年8月に非小細胞肺癌に対する適応が認められている。その後、ペメトレキセドとシスプラチンの併用療法について、ゲムシタビン(商品名:ジェムザール)とシスプラチンの併用療法と比較した第3相試験でも、生存期間について非劣性を示したことが報告されている。

 今回の日本での適応追加は、国内でペメトレキセド単独による第1相試験が行われ、次いで化学療法歴のある進行性非小細胞肺癌患者を対象とした第2相試験を実施、上記の海外で実施された第3相試験の結果が加味されて承認されている。なお海外では、前述の米国やEU各国のほか、カナダ、オーストラリア、アジア諸国(韓国、台湾、タイ、マレーシア、シンガポールなど)など、101の国および地域で承認・販売されている。

 ペメトレキセドが使用可能になったことで、非小細胞肺癌においては、これまで以上に効果的な治療薬選択が可能となることが期待される。ただし臨床試験では、AST上昇、発疹、白血球減少、ALT上昇、好中球減少、食欲不振、ヘモグロビン減少、悪心、LDH上昇、リンパ球減少といった副作用が、50%以上の高頻度で認められていることには十分な注意が必要である。