2009年4月22日、世界初の経口カルバペネム系抗菌薬であるテビペネム ピボキシル(商品名:オラペネム小児用細粒10%)が製造承認を取得した。適応菌種は、黄色ブドウ球菌、レンサ球菌属、肺炎球菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、インフルエンザ菌で、適応症は肺炎、中耳炎、副鼻腔炎である。小児に1回4mg/圓1日2回、食後に経口投与する。

 小児の肺炎、急性中耳炎、急性副鼻腔炎は、肺炎球菌やインフルエンザ菌が主な起炎菌であり、従来は、ペニシリン系、セフェム系、マクロライド系といった経口抗菌薬が使用されていた。しかし近年、これらの標準的な抗菌薬が奏効せず、注射用抗菌薬を使った入院治療を余儀なくされる症例が多くなってきている。

 その最大の原因は、耐性菌の増加である。実際、全国規模のサーベランス調査結果では、ペニシリン耐性肺炎(PRSP)やβ-ラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性インフルエンザ菌(BLNAR)といった耐性菌が高率に検出されている。

 今回承認されたテビペネムは、抗菌スペクトルが広く、PRSPやBLNARなど、小児感染症で問題になっている耐性菌にも有効性が確認されている。また本薬では、C2位カルボン酸をピボキシル基でエステル化することで経口吸収性が向上しており、経口製剤でありながら、注射用のカルバペネム系抗菌薬と同等以上の強い抗菌力を発揮する。

 テビペネムの登場で、難治例が問題になっていた小児の中耳炎や副鼻腔炎の治療が大きく変わっていくものと考えられる。ただし、使いやすい経口薬だからといって本薬を安易に使用すると、新たな耐性菌が出現してしまうというリスクがあることを常に念頭に置く必要がある。具体的には、ほかの抗菌薬が無効な難治例のみに使用を限定するなど、適用を厳密に見極める努力が必要になろう。