2009年4月22日、ニューキノロン系抗菌薬レボフロキサシン水和物(商品名:クラビット錠250mg、同錠500mg、同細粒10%)が製造承認を取得した。承認された用法・用量は「1回500mg、1日1回経口投与」である。レボフロキサシン製剤は、既に1993年から「クラビット錠」「クラビット細粒」が販売されているが、これらの常用量は「1回100mg、1日3回経口投与」であり、新しい製剤とは用法・用量が異なっている。

 レボフロキサシンは,ニューキノロン系抗菌薬の代表的な薬剤であり、細菌のDNAジャイレースおよびトポイソメラーゼIVに作用し、DNA複製を阻害することで抗菌作用を発揮する。抗菌スペクトルは、嫌気性菌を含むグラム陽性菌群及びグラム陰性桿菌、マイコプラズマ属、クラミジア属と幅広く、呼吸器感染症、尿路感染症、皮膚感染症、腸管感染症など各種感染症に有効性が確認されている。

 しかし近年、ニューキノロン系抗菌薬は、使用頻度や使用量の増加により耐性菌の出現が深刻な問題となっている。この耐性化は、最近のPK-PD(Pharmacokinetics-Pharmacodynamics:薬物動態学-薬力学)の理論に基づく研究から、薬物動態と密接な関係があることが判明している。

 具体的にニューキノロン系抗菌薬では、薬剤と菌が接している時間を長くするよりも、菌と接する薬剤の濃度を高くした方が、殺菌作用を増強させられることが分かっている。こうした「濃度依存性」の抗菌薬は、1回投与量を増やして最高血中濃度を上げることで、殺菌作用が増強されるとともに、耐性菌の出現を抑制することが期待できると考えられる。

 今回のレボフロキサシンの高用量製剤の承認は、こうしたPK-PD理論に基づいた抗菌薬使用が国内外で一般的になっていることや、実際に海外の多くの国でレボフロキサシンの承認用量が1日1回500mgであることが影響している。今回の承認取得に向けて製薬会社は、改めて安全性などを確認する目的で、中国および日本で臨床試験(特に呼吸器感染症と尿路感染症を対象とした臨床データ)を実施している。

 このレボフロキサシンの高用量製剤の登場で、感染症治療がより効果的に行えるようになるとともに、耐性菌増加の抑制が期待できる。ただし実際の使用に当たっては、禁忌となる患者(原則として妊婦や小児)を避け、適正使用を心がけることが肝要である。また、用量依存的に発現頻度が高まるとされる「けいれん」などの副作用には十分な注意が必要である。