2月13日、厚生労働省医薬食品安全対策課から、ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体トシリズマブ(商品名:アクテムラ点滴静注用80mg、同200mg、同400mg)の使用上の注意改訂が通知された。この通知に従い、トシリズマブの添付文書の慎重投与の項目に「間質性肺炎の既往歴のある患者」が、重大な副作用の項目に「間質性肺炎」が追加されている。

 間質性肺炎は、肺胞壁やその周辺に生じた炎症により肺が線維化し、ガス交換ができにくくなる疾患である。この線維化が肺全体に進行すると、致死率が高い肺線維症に移行する。間質性肺炎の主な症状は、息切れ(労作時呼吸困難)、空咳(乾性咳嗽)、発熱である。間質性肺炎は、一部に膠原病(皮膚筋炎・多発性筋炎、強皮症、関節リウマチなど)やアスベスト吸入など、原因が明らかなものもあるが、多くは原因が特定できない、いわゆる「特発性間質性肺炎」である。

 間質性肺炎では、使用薬剤に起因する薬剤性間質性肺炎も知られており、原因薬剤は多岐にわたる。具体的には、抗癌剤、抗リウマチ薬、インターフェロン製剤、漢方薬(小柴胡湯など)、解熱鎮痛薬(アスピリン、サリチル酸など)、抗不整脈薬(アミオダロン)などの医療用医薬品のほか、総合感冒薬などの一般用医薬品でも報告がある。

 今回の改訂は、トシリズマブを投与していた関節リウマチの患者で、因果関係が否定できない間質性肺炎が10人(うち死亡2人)報告されたことがきっかけである。発現例の多くに間質性肺炎の既往があったことから、慎重投与の対象に「間質性肺炎の既往歴のある患者」が追加されている。

 トシリズマブは、日本で開発された抗IL-6レセプター抗体製剤である。IL-6は、炎症反応や種々の細胞の分化誘導や増殖、免疫反応の調節、血小板増多など、多様な生理活性を有している。トシリズマブは、こうしたIL-6の生物学的作用を抑制することで薬効を発揮する抗体医薬である。2005年にキャッスルマン病治療薬として承認された後、08年4月には関節リウマチ、多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎、全身型若年性特発性関節炎に適応が追加されている。

 関節リウマチは、そもそも間質性肺炎を合併する場合がある。また、アクテムラ以外の抗リウマチ薬でも、副作用として間質性肺炎が起こることが知られている。したがって、特にアクテムラを関節リウマチに使用する場合には、上記の呼吸器症状などを定期的・継続的に問診などでチェックするなど、間質性肺炎の早期発見に努める必要がある。

 添付文書の重大な副作用の欄にも、以下のような説明が書かれている。「発熱、咳嗽、呼吸困難等の呼吸器症状に十分に注意し、異常が認められた場合には、速やかに胸部X線、CT及び血液ガス検査等を実施し、本剤の投与を中止するとともにニューモシスチス肺炎との鑑別診断(β-D-グルカンの測定等)を考慮に入れ適切な処置を行うこと。なお、間質性肺炎の既往歴のある患者には、定期的に問診を行うなど、注意すること」。