2009年2月23日、乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン(商品名:ジェービックV)が製造承認を取得した。5月の発売が予定されている。

 日本脳炎は、蚊(コガタアカイエカ)が媒体する日本脳炎ウイルスによって起こる感染症である。感染した場合には、250人に1人程度発症するとされ、感染後1〜2週間の潜伏期を経て、急激な発熱、頭痛を主訴として発症し、項部硬直、光線過敏、意識障害、筋硬直、不随意運動などの脳炎症状が発現する。

 日本脳炎は、治療法がないため、ワクチン接種での予防が重要となる。従来から日本脳炎ワクチン(北京株)が臨床使用されていたが、接種後に重症の急性散在性脳脊髄炎(ADEM)を発現した事例が報告された。この事例と、ワクチンの材料にマウスの脳を使っていることとの因果関係が否定できなかったため、厚生労働省は2005年5月、このワクチンによる定期予防接種の積極的勧奨を行わないよう、全国の市町村に勧告した。しかし、専門家などからは、最近でも日本脳炎の罹患患者がゼロではないことを考え、接種によるリスク(ADEMなど)がより低い新しいワクチンの開発が熱望されていた。

 今回承認された乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンは、欧米において不活化ポリオワクチンや狂犬病ワクチンの製造用細胞として実績のあるVero細胞(アフリカミドリザル腎臓由来株化細胞)を材料とすることで、マウス脳由来物質によるADEM発症の理論的リスクを排除した製剤である。ちなみに本ワクチンは、Vero細胞を用いて製造された日本初のワクチンである。

 本剤は、承認条件として、「製造販売後、可及的速やかに重篤な副反応に関するデータを収集し、段階的に評価を行うとともに、その結果を踏まえ、本剤の適正使用に必要な措置を講ずること」が定められている。これは、(1)海外のほかの細胞培養ワクチンにおいてADEMが報告されていること、(2)マウス脳由来物質を使用したワクチン以外でもADEMは報告されていること、(3)国内で初のVero細胞を用いて製造された薬剤であること――などが考慮されたものである。