2009年1月21日、パーキンソン病治療薬ゾニサミド(商品名:トレリーフ錠25mg)が製造承認を取得した。パーキンソン病のうち、レボドパ含有製剤に他の抗パーキンソン病薬を使用しても十分に効果が得られなかった場合が適応であり、ゾニサミドを処方する際にはレボドパ含有製剤と併用することが定められている。

 ゾニサミド自体は、長い半減期(62時間)を持つ抗てんかん薬として、錠剤(商品名:エクセグラン錠100mgほか)と散剤(商品名:エクセグラン散20%ほか)が1989年6月から臨床使用されている。ゾニサミドのてんかん治療における作用機序は、完全には解明されていないが、発作活動の伝播過程の遮断、てんかん原性焦点の抑制などによるものと推測されている。

 このゾニサミドがパーキンソン病治療に応用されるようになったのは、痙攣発作を偶然に起こしたパーキンソン病患者に同薬を投与したところ、痙攣が抑制されるだけでなく、パーキンソン病症状の著明な改善が見られたというエピソードがきっかけになっている。

 パーキンソン病は、安静時振戦、固縮、無動、姿勢反射障害などの運動障害を主症状とする神経変性疾患であり、神経終末のドパミン欠乏により発症する。治療は、ドパミンを補充する薬物療法が基本であり、具体的には、レボドパ含有製剤やドパミン受容体刺激薬、ドパミン放出促進薬(アマンタジン塩酸塩)などが使用される。また、これらに加えて、MAO-B阻害薬(塩酸セレギリン)、抗コリン薬(塩酸トリヘキシフェニジルなど)、ノルアドレナリン補充薬(ドロキシドパ)、末梢COMT阻害薬(エンタカポン)なども使用される。

 ゾニサミドのパーキンソン病に対する作用機序も完全には解明されていないものの、従来の薬剤とは異なる幾つかの作用機序が想定されている。具体的には、(1)レボドパ投与時に線条体細胞外液中で起こるドパミンレベルの上昇を増強させる作用、(2)MAO-B阻害作用、(3)ドパミン代謝回転の抑制作用、(4)チロシン水酸化酵素活性亢進作用――などである。

 今後、ゾニサミドは、レボドパ含有製剤と併用する形で、パーキンソン病治療に広く使用されていくものと考えられる。ただしゾニサミドは、てんかん治療で使用する場合とパーキンソン病治療に使用する場合で、用量が異なることに注意したい。具体的には、パーキンソン病治療には1日1回25mgで使用するのに対し、てんかん治療では「通常、成人は最初1日100〜200mgを1〜3回に分割経口投与する。以後1〜2週ごとに増量して通常1日量200〜400mgまで漸増し、1〜3回に分割経口投与する」となっている。