2009年1月21日、喘息治療薬のオマリズマブ(商品名:ゾレア皮下注用)が製造承認を取得した。喘息に適応を持つ日本で初めての抗体医薬(ヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤)である。2週間もしくは4週間に1回の皮下注射で、重症喘息患者の症状増悪頻度を減少させる効果などが確認されている。海外では2003年に米国、05年に欧州連合(EU)で承認されるなど、これまでに46カ国で承認されている。

 喘息は「気道の慢性炎症を基本病態とする慢性疾患」であり、発作性の呼吸困難、喘鳴、胸苦しさ、咳などが主な症状である。発作には、種々のアレルゲンによるアレルギー性炎症が関与しており、中でも免疫グロブリンのIgEが介在する一連のアレルギー反応が重要な役割を果たしていると考えられている。

 喘息では、重症度に応じて長期管理薬と発作治療薬を併用する治療が、世界標準となっている。特に、長期管理に使用する吸入ステロイド薬が一般に使用されるようになってから、効果的な発作予防が可能になり、喘息死は減少傾向にあるとされる。

 しかし、減少しているとはいえ、わが国でも1年間(2006年)に約2800人が喘息により死亡しているのが現状である。その多くは重症喘息患者であり、重症者の長期管理の方法が必ずしも確立されていないことが、喘息治療における重要な課題となっている。

 近く承認される見込みのオマリズマブは、IgEに直接結合し、IgEが介在する作用を特異的に阻害することで、喘息の病態の根底にあるアレルギー・炎症反応を抑制する薬剤である。欧米では、既存治療で症状が十分にコントロールできない重症アレルギー性喘息に対する追加的治療薬として推奨されており、日本でも昨年、日本アレルギー学会から早期承認に関する要望書が厚生労働省へ提出されていた。

 コントロールが不十分な中等症〜重症の喘息患者を対象に行われた国内の臨床試験では、投与開始16週間後の平均PEF値や増悪発現率などが有意に改善したことが報告されている(関連記事:2007.6.18「喘息の抗体医薬、フェーズ3で有望結果」)。

 本薬剤の国内での適応は「気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)」であり、具体的には「高用量の吸入ステロイド薬及び複数の喘息治療薬を併用しても症状が安定せず、通年性吸入抗原に対して陽性を示す患者」に使用可能である。投与量は、初回投与前の血清中IgE濃度(IU/mL)及び体重(kg)で設定された投与換算表に基づき決定する。

 オマリズマブの登場は、喘息死の危険がある重症喘息患者にとって朗報である。ただし米国では2007年、市販後調査で遅発型アナフィラキシーが報告され、問題化している。日本でも、アナフィラキシー発現の可能性に配慮した上で投与することが必要である。