2008年10月16日、高リン血症治療薬の炭酸ランタン水和物(商品名:ホスレノールチュアブル錠250mg、同500mg)が製造承認を取得した。適応は「透析中の慢性腎不全患者における高リン血症の改善」である。開始用量は「成人1日750mgを1日3回食直後に分割投与」で、最高用量は1日2250mgまで、増量の際は、増量幅を1日当たりの用量で750mgまでとし、1週間以上の間隔を空けて行うこと、とされている。

 慢性腎疾患(CKD)では、腎機能の低下によりリンの排泄が低下することで、腎臓におけるビタミンDの活性化が障害され、血清カルシウム濃度が上昇する。その結果、骨線維症や骨軟化症が起こるほか、長期的には、血管を含む全身の石灰化が引き起こされる。こうした影響を抑制するため、CKD患者では、リンの摂取制限が指導されるのが一般的である。

 リンの摂取制限は、透析に至った腎不全患者でも必須である。透析では、透析液の拡散に依存してリンを血液中から除去するが、それでは十分な除去ができないからである。しかし現実には、多くの透析患者が、食事制限だけでは血清リン濃度を十分に抑制できず、「リン吸着剤」を服用する。具体的な薬剤としては、カルシウム製剤の沈降炭酸カルシウム(商品名:カルタンほか)や、非カルシウム性リン吸着剤の塩酸セベラマー(商品名:フォスブロック、レナジェル)が使用される。

 ただし、沈降炭酸カルシウムは血清カルシウム濃度の上昇が見られる場合があること、塩酸セベラマーでは便秘などの有害事象により投与量が制限されることが問題となる。専門医からは、血清カルシウム濃度を上昇させることなく、高いリン結合作用を発揮する新たな治療薬の開発が望まれていた。

 今回、承認された炭酸ランタンは、食事から摂取されるリン酸に高い親和性を持つ非アルミニウム・非カルシウム性のリン吸着剤である。リン酸と結合すると、極めて難溶性のリン酸ランタンが生成され、そのまま消化管を通過して排泄される仕組みである。また炭酸ランタン製剤は、水の服用を必要としないチュアブル錠であり、水分制限が必要とされる透析患者には大きなメリットとなる。既に海外では、2004年にスウェーデンや米国などで承認されて以降、2008年5月現在、世界35カ国で承認されている。

 炭酸ランタン製剤は、高リン血症治療薬として有用性が高い薬剤であり、今後、透析患者に広く使用されていくものと予想される。ただし使用に際しては、定期的に血清のリン、カルシウム、副甲状腺ホルモン(PTH)の濃度を測定しながら投与量を調節し、2週間投与で効果が認められなければ、ほかの治療法への切り替えを検討しなければならない。また、国内の臨床試験では26.9%に副作用が認められており、主な副作用は、嘔吐(12.5%)、悪心(10.2%)、胃不快感(3%)、便秘(2.3%)などである。これら副作用について、患者に十分に説明する必要がある。