2008年10月16日、更年期障害治療薬のエストラジオール・酢酸ノルエチステロン経皮吸収型製剤(商品名:メノエイドコンビパッチ)が製造承認を取得した。適応は「更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う血管運動神経系症状(Hot flush及び発汗)」であり、用法・用量は「1枚を3〜4日ごとに1回(週2回)下腹部に貼付」となっている。薬価収載後、2009年2月ごろに発売される予定である。

 更年期障害は、閉経前後の40〜50歳台の女性に見られる症候群である。女性ホルモンの不足が原因であり、自律神経失調症を中心とした様々な症状が出現する。具体的には、のぼせやほてりなどのHot flush、憂うつ、肩こり、腰痛、易疲労感など、多様な症状が出現する。このうちHot flushは、代表的な血管運動神経系症状の一つで、のぼせやほてりといった症状が突然出現するほか、発汗、冷え性、睡眠障害などを伴うことが多い。

 更年期障害の治療では、不足する女性ホルモンを補うために、卵胞ホルモン(エストロゲン)製剤を使ったホルモン補充療法(HRT)が行われる。この卵胞ホルモン製剤は、単独で投与すると子宮内膜癌のリスクが高まるため、黄体ホルモン(プロゲステロン)を併用する必要がある。

2002年、米国での大規模試験「Women's Health Initiative(WHI)」の中間報告で、HRTが乳癌や肺塞栓症の発症リスクを高める可能性が指摘され、世界的にHRTを受ける患者は減少した。
 しかしその後、WHIの再解析結果などから、薬剤の投与方法や治療開始年齢を最適化すれば、こうした問題は解決できるのではないかとする専門家も増えている。日本でも来春、世界的な最新のコンセンサスを盛り込んだ、新しいHRTのガイドラインが発表される見込みである。

 卵胞ホルモン製剤は、経口剤のほかに、経皮剤(貼付剤と外用ゲル剤)が販売されている。経皮剤は、肝臓での初回通過効果を受けないため、経口剤よりも投与量が少なくて済むことなどがメリットとされる。しかし併用する黄体ホルモン製剤には貼付剤がなく、卵胞ホルモン製剤で貼付剤を使用していても、黄体ホルモンを別途、経口剤で服用する必要があった。

 今回、承認されたメノエイドコンビパッチは、この卵胞ホルモンと黄体ホルモンを1剤に配合した貼付剤である。併用の必要がある2種類のホルモン成分が、1剤の貼付剤にまとまったことで、患者の利便性は大きく向上する。また1週間に2回の貼り替えで済むため、コンプライアンスの向上が期待できる。海外では、スウェーデン、米国、カナダ、スイスなどで承認・販売されている。

 こうした利点から、本薬は、更年期障害治療における新たな選択肢として、今後、広く使用されていくものと予想される。しかし長期間投与し続けると、乳癌などの発症リスクが増加する可能性があることには十分に留意し、この点を患者に事前に説明しておくことが必要である。