2008年10月16日、フェノバルビタールナトリウムの静注製剤である「ノーベルバール静注用250mg」が製造承認を取得した。適応は「新生児けいれん、てんかん重積状態」である。本薬は、日本で初めての静脈注射用フェノバルビタール製剤であり、また新生児けいれんに適応を有する世界で初めての薬剤である。

 この数年、既存薬とは作用機序の異なる新しい抗てんかん薬が続々と発売されている。具体的には、2006年発売のガバペンチン(商品名:ガバペン)、2007年発売のトピラマート(商品名:トピナ)、2008年発売(予定)のラモトリギン(商品名:ラミクタール)といった薬剤であり、これらの登場で、てんかん治療の幅は大きく広がっている。とはいえ、これら新しい薬剤も、従来から使われている古典的な抗てんかん薬と併用することが基本であり、従来薬の重要性は変わっていない。

 フェノバルビタールは、古くから使われている古典的な抗てんかん薬の一つであり、国内外のガイドラインでも、てんかん治療の中心的な薬剤として位置付けられている。しかし日本の注射製剤は、皮下もしくは筋注での使用に制限されている。これは、従来の注射剤が、水に溶けにくいフェノバルビタールを有機溶媒(クロロブタノール、グリセリンエチルエーテル)を添加することで溶解させた製剤だからである。投与後に主薬のフェノバルビタールが結晶化して析出し、微細血管の塞栓症が起こる可能性があるため、添付文書でも「緊急に必要とする場合以外は使用しない」と注意が喚起されている。

 今回、承認されたフェノバルビタール静注製剤は、フェノバルビタールナトリウムを凍結乾燥させた製剤であり、添加剤を含んでいないのが特徴である。フェノバルビタール静注用製剤は、国際的に新生児けいれんやてんかん重積状態の治療薬として推奨されていること、日本でも日本小児科学会など、臨床現場からの強い要望があったことから、第3相臨床試験が医師主導治験(日本医師会治験促進センターの治験推進研究事業)で行われ、今回の承認に至っている。

 フェノバルビタールの静注用製剤が承認されたことにより、日本でも国際標準のてんかん治療が可能となり、患者にとって福音となるものと考えられる。ただし本薬の静注に当たっては、従来薬の筋肉内投与に比べて、血中濃度の上昇による呼吸抑制などの副作用が発現しやすい可能性があることに注意し、用量調整などを十分に検討しなければならない。