2008年10月16日、免疫抑制薬ネオーラル(一般名:シクロスポリン)に、新たに「アトピー性皮膚炎(既存治療で十分な効果が得られない患者)」の適応が追加された。具体的な投与対象は、アトピー性皮膚炎患者のうち、ステロイド外用薬やタクロリムス外用薬(商品名:プロトピック軟膏)などを使った一般的な治療で十分な効果が得られず、強い炎症を伴う皮疹が体表面積の30%以上に及ぶ患者である。なお、同じシクロスポリン製剤であるサンディミュンには、今のところこの適応は追加されていない。

 アトピー性皮膚炎の多くは乳児期に発症し、悪化や寛解を繰り返すが、適切な治療が行われれば思春期までには軽快する。しかし中には、成人になってもアトピー性皮膚炎が持続するケースや、既存の治療薬に抵抗性を示す難治症例(重症例または再発例)が存在し、主に専門医の間で問題になっていた。

 シクロスポリン製剤であるネオーラルは、真菌の代謝産物であり、T細胞を活性化するシグナル伝達を阻害することで、インターロイキン2などのサイトカイン産生を抑制し、免疫抑制作用を発揮する。日本では2000年5月に発売されて以来、臓器移植や骨髄移植における拒絶反応の抑制や、各種の自己免疫疾患の治療などに広く使用されている。

 今回適応が認められたアトピー性皮膚炎に対しては、かゆみ発現に関与するサイトカインや肥満細胞からのヒスタミンの分泌を抑制することで、アトピー性皮膚炎におけるかゆみを抑制すると考えられている。

 ネオーラルは、重症の難治性アトピー性皮膚炎に対する治療薬として、専門家だけでなく患者からも期待されていた薬剤であり、今後、そうした患者への使用が増えていくだろう。

 ただしネオーラルの使用に際しては、これまで通り、腎障害などの副作用を防ぐために、1カ月に1回を目安に血中薬物濃度を測定し投与量を調節しなければならない。さらに、アトピー性皮膚炎患者に対して投与する場合には、添付文書にも「投与期間はできる限り短期間にとどめること」「8週間投与で改善が認められない場合には投与を中止し、最大でも1回の治療期間は12週間以内を目安にすること」などが明記されており、投与期間には十分に注意したい。