2008年7月16日、免疫抑制薬の「グラセプターカプセル0.5mg」「同1mg」「同5mg」(一般名:タクロリムス水和物)が製造承認を取得した。適応は「腎、肝、心、肺、膵移植における拒絶反応の抑制、ならびに骨髄移植における拒絶反応および移植片対宿主病の抑制」である。既存のタクロリムス水和物製剤(商品名:プログラフ)が1日2回投与であるのに対し、グラセプターは1日1回投与で済む徐放性製剤である。

 タクロリムスは、放線菌の代謝産物から発見された薬剤であり、免疫抑制薬として1996年から臨床使用されている。マクロライド構造を有し、T細胞からの分化・増殖因子であるインターロイキン2やインターフェロンγなどのサイトカインの産生を選択的に阻害することで、強力な免疫抑制作用を発揮する。臓器・骨髄移植における拒絶反応を抑えるための中心的な薬剤として使用される一方、既存のステロイド治療では十分な効果が得られない全身型重症筋無力症や関節リウマチ、ループ腎炎などにも適応を有し、使用されている。

 今回、製造承認されたグラセプターは、臓器・骨髄移植の拒絶反応と移植片対宿主病の抑制のみの適応であるが、1日1回投与が可能になったことで、患者の服薬利便性が高まり、服薬コンプライアンスの向上が期待できる。このタクロリムスの徐放製剤は、海外ではAdvagraf(アドバグラフ)の商品名で2007年6月から販売され、欧州など世界18カ国で使用されている。

 今後、グラセプターは、移植医療で免疫抑制薬として広く使用されていくものと予想される。ただし使用に当たっては、既存の1日2回製剤と同様、有効性と安全性を確認するために血中濃度(トラフ値)を測定し、投与量を調節する必要がある。また重大な副作用として、腎不全、心不全、感染症、全身痙攣、意識障害、脳梗塞、血栓性微小血管障害、汎血球減少症などにも十分な注意を払わなければならない。