2008年7月16日、抗酸菌症治療薬のリファブチン(商品名:ミコブティンカプセル150mg)が製造承認を取得した。適応症は「本剤に感性のマイコバクテリウム属による(1)結核症、(2)マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症を含む非結核性抗酸菌症、(3)HIV感染患者における播種性MAC症の発症抑制」である。

 抗酸菌は、結核菌とそれ以外に大別され、結核菌による感染症が「結核症」、結核菌以外の抗酸菌による感染症が「非結核性抗酸菌症」と呼ばれている。

 日本の結核患者数は減少傾向にあるものの、2006年現在、年間発症数は2万6000人以上と欧米諸国と比べて罹患率が高いことから、依然として日本は結核中進国とされている。

 一方の非結核性抗酸菌症は、多くが肺結核に類似した慢性の呼吸器疾患であり、咳、発熱、痰、倦怠感、食欲不振などの症状が発現する。原因となる非結核性抗酸菌の大半(約70%)はマイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)で、このMACによる非結核性抗酸菌症は「MAC症」と呼ばれている。MACの主な感染経路としては、水の中で増殖した菌がシャワーなどにより微小な粒子として空気中に放出され、それを吸い込むことで感染すると考えられている。非結核菌抗酸菌症の日本での発症者数は年間7000人ほどである。

 抗酸菌症治療では、結核菌に対してはイソニアジド、リファンピシン、ピラジナミド、ストレプトマイシン、エタンブトールなどの抗結核薬が使用され、MACを含む非結核性抗酸菌症には、これら抗結核薬に加えて、マクロライド系抗菌薬のクラリスロマイシン(商品名:クラリス※)やアジスロマイシン(商品名:ジスロマック錠600mg)、ニューキノロン系抗菌薬のレボフロキサシン(商品名:クラビットほか)などが使用される。

 ただし結核症では、多剤耐性結核菌の出現でこれまでの抗結核薬では十分な治療ができないケースがあり、問題になっている。またMAC症はHIV感染者に併発することも多いが、HIV感染者は多種類の抗HIV薬を併用しており、抗HIV薬とMAC症治療に使用する抗結核薬との薬物相互作用が、治療上問題となる。

※クラリス錠には、2008年8月に「マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症を含む非結核性抗酸菌症」の適応が追加された。

 今回、製造承認されたリファブチンは、抗結核薬のリファンピシンと同じリファマイシン系薬剤であり、DNA依存性RNAポリメラーゼを阻害しRNA合成を抑制することで抗菌作用を発揮する。ただしリファブチンは、リファンピシン耐性結核菌の約30%に感受性を有することから、耐性結核菌に対してリファンピシンの代わりに使用することも可能である。

 また、HIV感染者以外の非結核性抗酸菌症に適応を有する薬剤は、リファブチンが日本で初めてである。さらにリファブチンは、リファンピシン同様に肝薬物代謝酵素CYP3A4群の誘導作用があるものの、リファンピシンよりもこの作用が弱いため薬物相互作用が起こりにくく、抗HIV薬と併用しやすいことも特徴である。

 海外では、1992年にイタリアで承認されてから世界35カ国で承認されている(2008年4月現在)。日本では、未承認薬使用問題検討委員会で早期承認が要請されたのち、厚生労働省および医薬品医療機器総合機構が製薬会社に承認申請を要請し、製薬会社は2007年6月に海外臨床データに基づいて製造承認申請を行い、今回の承認に至っている。

 リファブチンは、海外での臨床試験では、33.8%に有害事象が報告されている。具体的には、白血球減少症、尿変色、悪心、発疹、嘔吐、発熱、肝機能異常、腹痛、貧血、血小板減少症、下痢、ALP増加などである。