2008年6月16日、経口鉄キレート薬デフェラシロクス(商品名:エクジェイド懸濁用錠125mg、同250mg)が発売された。適応は「輸血による慢性鉄過剰症(注射用鉄キレート薬治療が不適当な場合)」であり、用法・用量は「1日1回20mg/圓鮨100mL以上で用時懸濁し、空腹時に経口投与。1日30mg/圓泙覗量可能」となっている。

 輸血による慢性鉄過剰症は、再生不良性貧血や骨髄異形成症候群などの難治性貧血のために赤血球輸血を繰り返し行うことで、体内に過剰な鉄が蓄積して心不全や肝障害など重篤な臓器障害を引き起こす疾患である。従来、この体内における過剰な鉄除去には鉄キレート作用を有するデフェロキサミンメシル酸塩(商品名:デスフェラール)の注射製剤が使用されていた。

 しかし、注射製剤のデフェロキサミンでは、投与対象となる再生不良性貧血や骨髄異形成症候群の患者の多くが血小板減少や白血球減少などを伴っていることから、注射による出血や感染症のリスクが問題になっていた。また、通院治療を頻繁に行い連日注射するという煩雑さが、治療継続に大きな障害となっていた。

 これに対しデフェラシロクスは、注射の必要はなく、錠剤を水に溶かして服用するため、患者の利便性が高い。実際には、デフェラシロクスが適応となる病態・疾患の患者は日本で5000人程度と少ないが、早期に適切な治療を継続して行う必要があることから、患者団体などからも早期承認の要望書が提出されていた。これを受けて、厚生労働省の第9回未承認薬使用問題検討会(2006年7月)で、外国での臨床データの活用を含めて優先審議され、この4月16日に製造が承認されたという経緯がある。

 同薬は、銅や亜鉛などの2価の金属に比し、3価の鉄に高い親和性を示すキレート薬である。用量依存的な鉄排泄効果があり、半減期が10〜20時間程度と長く、1日1回の投与が可能なことなどが特徴である。海外では、2002年に欧米でオーファンドラッグの指定を受けて以降、2007年10月現在で世界95カ国にて承認されている。

 今後、デフェラシロクスは、患者の生存率やQOL向上に大きく貢献していくと考えられるが、使用にあたっては副作用の発現(嘔気、嘔吐、下痢、腹痛、発疹、血清クレアチニン上昇など)に十分な注意が必要である。中でも、血清クレアチンの上昇に関しては厳重な注意が必要であり、投与開始前に血清クレアチニンを2回測定し、投与開始後は4週間毎に測定しなければならない。また服用時間についても、薬物動態が食事の影響を受けやすいことから、患者に「空腹時に服用し、服用後30分間は食事をしないこと」を十分説明する必要がある。