2008年4月16日、ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体アダリムマブ(商品名:ヒュミラ皮下注40mgシリンジ0.8mL)が製造承認を取得した。適応は「関節リウマチ(既存治療で効果不十分な場合に限る)」であり、用法・用量は「成人には40mgを2週に1回皮下注射、効果不十分な場合は1回80mgまで増量可能」となっている。

 現在、世界中で約2100万人が罹患している関節リウマチ(RA)は、全身の関節における滑膜の炎症を特徴とする進行性の自己免疫疾患である。近年、RAの病態解明が進むにつれて薬物治療も飛躍的な進歩を遂げており、特に炎症を制御するための抗体医薬品が続々と開発されている。

 RAに適応を有する抗体医薬品として、日本国内で使用可能なものとしては、キメラ型・抗腫瘍壊死因子(TNF)αモノクローナル抗体のインフリキシマブ(商品名:レミケード)、TNFαレセプターの一部を免疫グロブリンと融合させたエタネルセプト(商品名:エンブレル)、ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体のトシリズマブ(商品名:アクテムラ)の3成分がある。

 今回承認されたアダリムマブは、インフリキシマブと同じ作用機序を持つ「TNFαモノクローナル抗体」である。RAなどの自己免疫疾患の炎症反応で中心的役割を担っている蛋白質「TNFα」を中和することにより効果を発揮する。

 この2剤の違いはアダリムマブが、完全なヒト型抗体であることである。インフリキシマブはマウス蛋白を含むキメラ型であり、単独投与では高率に中和抗体を生じるが、完全ヒト型抗体であるアダリムマブは中和抗体による効果減弱が起こりにくいと考えられている。実際、インフリキシマブでは、中和抗体の産生を抑制するメトトレキサート(商品名:リウマトレックス、MTX)の併用が必須であるのに対し、アダリムマブは単独でも高い有効性を示すためMTXの併用は必須ではない(ただしMTXとの併用でさらに有効性が高まることが確認されている)。

 またアダリムマブは、RA以外の疾患にも有効性が認められており、現在、日本でも乾癬(申請中)、クローン病、強直性脊椎炎、若年性関節リウマチ、潰瘍性大腸炎への適応拡大に向けて開発が進められている。

 アダリムマブは、2週に1回の投与で治療を開始し、主治医の判断で患者自身による自己注射が可能となる薬剤である。このように患者の利便性にも優れていることから、今後、使用頻度が増えていくものと考えられる。ただし使用に当たっては、ほかの抗体医薬品と同様、重篤な感染症(敗血症、日和見感染症など)、結核、脱髄疾患(多発性硬化症など)の新たな発生もしくは悪化などが報告されていること事前に説明しておく必要がある。