2008年4月16日、高インスリン血性低血糖症治療薬のジアゾキシド(商品名:アログリセムカプセル25mg)が製造承認を取得した。用法・用量は、患者の年齢によって異なるが、1歳以上の幼小児と成人では「投与開始時は1日3〜5mg/kgを2〜3回分割で、その後は1日3〜8mg/kgを2〜3回分割で、8時間あるいは12時間毎に投与する。1日最大投与量は20mg/kgまで」となっている。

 高インスリン血性低血糖症は、膵臓のインスリン分泌が適切に制御されず、過剰にインスリンが分泌されることで低血糖症状が出現する疾患であり、主に新生児や乳幼児に発症する。発症頻度は日本で年間30人程度、継続治療を行っている患者は200〜250人ほど。早期に適切な治療が行われないと死に至るほか、発育遅延、知能障害、運動障害が残ることもある重篤な疾患である。

 高インスリン血性低血糖症の急性期は、血糖値維持のために大量のグルコース投与を行うが、投与を中止すればすぐに低血糖症状が再発する。治療には、グルカゴン(商品名:グルカゴンG・ノボほか)、ソマトスタチンアナログ製剤のオクトレオチド(商品名:サンドスタチン)、各種ステロイド製剤などが使用されるが、長期の治療が必要になる疾患であることから、グルカゴンやオクトレオチドなどの注射製剤は使いにくく、ステロイド薬も副作用の問題で治療継続が困難となる場合が多かった。こうしたことから患者や専門家からは、経口投与が可能で、より有効性や安全性が高い薬剤が望まれていた。

 今回承認されたジアゾキシドは、膵β細胞のATP感受性K+チャネルを活性化することでインスリン分泌を抑制し、血糖上昇作用を示す薬剤である。海外では、1976年から発売されている米国をはじめ、世界30カ国以上で承認されており、長期使用が可能な唯一の高インスリン血性低血糖症治療薬として、第1選択薬に位置付けられている。

 ジアゾキシドの主な副作用は、嘔吐、不快感、血小板増多などであり、重大な副作用として、重篤な体液貯留、うっ血性心不全、ケトアシドーシス、高浸透圧性昏睡、急性膵炎、膵壊死などが報告されている。投与時には、患者にこれら副作用の初期症状や対処法などを事前に説明しておく必要がある。