2008年4月16日、高血圧治療薬のイルベサルタン(商品名:イルベタン錠、アバプロ錠)が製造承認を取得した。適応は「高血圧症」であり、用法・用量は「1日1回50〜100mg、1日最大投与量は200mgまで」となっている。

 イルベサルタンは、高血圧治療薬の中でも使用頻度や使用量が多いアンジオテンシンII(AII)受容体拮抗薬(ARB)に分類される薬剤である。ARBは、現在までにロサルタン(商品名:ニューロタン)、カンデサルタン(商品名:ブロプレス)、バルサルタン(商品名:ディオバン)、テルミサルタン(商品名:ミカルディス)、オルメサルタン(商品名:オルメテック)の5種類が臨床使用されており、今回のイルベサルタンは6番目のARBとなる。

 ARBは、AII受容体に対して競合的に拮抗し、生体内昇圧物質であるAIIの作用を抑制する。また、このARBの作用は、AII受容体の中でも血管収縮や心筋細胞の肥大をもたらすタイプ1受容体(AT1受容体)に選択的である。

 ARBは、同系統の薬剤であるACE阻害薬に比べ、空咳の副作用がないことが特徴の一つである。またARBやACE阻害薬など、AIIの作用を抑制する薬剤は、ほかの降圧薬に比べて心・腎保護効果などの臓器保護作用に優れていることが国内外の大規模臨床試験結果で明らかになっている。わが国の『高血圧治療ガイドライン2004』(日本高血圧学会編)でも、ARBおよびACE阻害薬の使用が推奨される「積極的な適応」として、「脳血管疾患後、心不全、心筋梗塞後、左室肥大、腎障害、糖尿病、高齢者」が挙げられている。

 今回承認されたイルベサルタンは、半減期が10.1〜15.2時間と長いことが特徴であり、24時間降圧効果が持続する「長時間作用型」に分類される。海外では、既に1997年から欧州各国や米国で承認されており、2008年1月現在、世界86カ国で販売されている。また2002年には、欧州および米国で、糖尿病性腎症(2型糖尿病を合併する高血圧症における腎症)への適応も取得している。

 主な副作用は、めまい(2.7%)、咳嗽(1.6%)、頭痛(1.1%)、CK(CPK)上昇(3.6%)、ALT上昇(2.3%)、AST上昇(2.0%)など。重大な副作用として、血管浮腫、高カリウム血症、ショック、失神、意識消失、腎不全、肝機能障害、黄疸、低血糖、横紋筋融解症が報告されているので、使用時には十分注意する必要がある。