2008年4月16日、ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体のトシリズマブ(商品名:アクテムラ)の適応追加が承認された。

 同薬は、これまで「キャッスルマン病」にしか適応がなかったが、今回新たに「既存治療で効果不十分な、関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)、多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎全身型若年性特発性関節炎」への適応が追加承認された。また、これに伴って80mg製剤、400mg製剤の剤型追加も承認された。

 関節リウマチは、全身の関節における滑膜の炎症を特徴とする進行性の自己免疫疾患であり、世界で2100万人が罹患していると推定されている。また、若年性特発性関節炎は、16歳未満の小児に発症する関節症状を伴う原因不明の疾患の総称であり、このうち「多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎」(pJIA)は臨床所見が関節リウマチと類似点が多く、一方の「全身型若年性特発性関節炎」(sJIA)は、弛張熱を主体とする全身症状を伴い、重篤度が高いとされる。

 トシリズマブは、国産の抗体医薬品の第1号であり、インターロイキン-6IL-6)とそのレセプターの結合を競合的に阻害することで、IL-6の生物学的作用を抑制し、薬効を発揮する。IL-6は、炎症反応、種々の細胞の分化誘導や増殖、免疫反応の調節あるいは血小板増多等など、多様な生理作用を有しており、関節リウマチ、全身型若年性特発性関節炎、キャッスルマン病の病態形成に深く関与していることが知られている。

 今回、追加承認された「関節リウマチ」に対してトシリズマブは、炎症を引き起こすIL-6の活性を抑制することで関節の炎症を改善し、全身症状(関節変形・破壊から生じる機能障害、疲労、貧血、骨粗鬆症など)を緩和する。国内の臨床試験では、関節リウマチの主要薬であるメトトレキサート(商品名:リウマトレックスほか)やNSAIDsの使用で効果不十分な症例に対して、トシリズマブは、単独投与でも優れた有効性を示したことが確認されている。

 また、海外15カ国で実施された、メトトレキサート治療効果不十分な中等症から重症の関節リウマチ患者1196人を対象とした多国籍・無作為化試験結果でも、関節の構造的損傷の進行を有意に抑制できたことが確認されている。なお、現時点でトシリズマブは、米国および欧州では抗リウマチ薬として申請中であり、承認を取得したのは日本が初となる。

 現在、関節リウマチの治療のモノクローナル抗体を含む生物学的製剤としては、キメラ型抗腫瘍壊死因子(TNF)αモノクローナル抗体のインフリキシマブ(商品名:レミケード)、TNFα受容体と免疫グロブリンを融和した蛋白製剤のエタネルセプト(商品名:エンブレル)があり、いずれも既存治療で効果不十分な症例に使用されている。

 今回の適応追加で、トシリズマブの使用頻度は増えるものと予想されるが、これまでの臨床試験結果などでは、副作用が全体の95.9%に認められていることに注意したい。主な副作用は、鼻咽頭炎 53.8%、コレステロール増加 37.3%、LDL上昇 18.9%、トリグリセリド増加 16.1%、ALT上昇 15.2%であり、重大な副作用としては、アナフィラキシーショック、アナフィラキシー様症状、感染症、腸管穿孔、好中球数減少、心不全などが報告されている。