2008年4月18日、抗悪性腫瘍薬のスニチニブリンゴ酸塩(商品名:スーテントカプセル12.5mg)が製造承認を取得した。適応は「イマチニブ抵抗性の消化管間質腫瘍」と「根治切除不能または転移性の腎細胞癌」で、用法・用量は「1日1回50mgを4週間連日投与し、その後、2週間休薬する。これを1クールとして投与を繰り返す」となっている。

 消化管間質腫瘍GIST)は、消化管粘膜ではなく消化管壁に発生する粘膜下腫瘍の一種で、消化管における間葉系腫瘍の中では最も頻度が高く、その約90%はc-kit遺伝子の変異が関与しているとされる。また一方の腎細胞癌RCC)は、腎実質の上皮細胞由来の悪性腫瘍であり、VHL遺伝子の変異が関与すると考えられている。

 現在、GISTに対してはイマチニブ(商品名:グリベック)、RCCにはインターフェロン製剤が中心的な治療薬として使用されているが、これらの薬剤に抵抗を示すなど十分に対処できない症例が少なくないことが問題となっていた。

 今回、製造承認されたスニチニブは、複数のチロシンキナーゼのシグナル伝達経路を標的とした経口キナーゼ阻害薬であり、癌細胞の増殖抑制および血管新生阻害作用により抗悪性腫瘍効果を発揮する分子標的薬である。

 海外第3相臨床試験での結果は、以下の通りである。GISTについては、イマチニブ抵抗性または忍容性のなかった転移性GISTを対象とした試験で、スニチニブ群ではプラセボ群に比べて無増悪期間の中央値が有意に延長した(6.4週→27.3週)。また進行性RCCについても、インターフェロンα群に比べて無増悪期間(中央値)が有意に延長し(22.0週→47.3週)、奏効率も5倍高かった(5.3%→27.5%)ことが確認されている。国内における第I相および第II相臨床試験において、日本人での有効性および忍容性も確認されています。国内では、第1相および第2相臨床試験で、日本人での有効性と忍容性が確認されている。

 スニチニブは、2006年1月に米国で承認されて以降、現在まで欧州を含む世界75カ国以上で承認されており、米国のNCCNガイドラインでは、GISTやRCCに対する第1選択薬として位置付けられている。現在、日本でスニチニブが適応となる切除不能・再発のGIST患者は年間500〜750人程度であり、また根治切除不能又は転移性のRCC患者は年間2500〜3000人程度と考えられている。

 なお、同じ経口キナーゼ阻害薬に分類され、「根治切除不可能または転移性RCC」に適応を持つソラフェニブ(商品名:ネクサバール)は、2008年1月に製造承認を取得し、この4月に発売されている。

 スニチニブは、今夏の薬価収載後に発売される見込みであるが、ソラフェニブと同様、承認条件として「一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象とした使用成績調査を行い、安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、適正使用に必要な措置を講じること」という承認条件が付されることを知っておきたい。

 また国内臨床試験では、投与された全例で副作用(臨床検査値異常を含む)が認められており、グレード3以上の主なものとしては、血液系副作用(好中球数減少症、血小板減少症、リンパ球数減少、白血球減少症、貧血など)、手足症候群、高血圧、リパーゼ増加などが報告されている。また重大な副作用としては、心不全、QT延長、可逆性後白質脳症症候群などが認められているので、使用に際しては添付文書の内容を熟知しておく必要がある。