2008年1月25日、ニューキノロン系抗菌薬シタフロキサシン水和物(STFX、商品名:グレースビット錠50mg、同細粒10%)が製造承認を取得した。今春、薬価収載後に発売される見込みである。適応は、主要な各種原因菌による呼吸器感染症、耳鼻咽喉科領域感染症、尿路感染症、性感染症、歯科・口腔外科領域感染症であり、用法・用量は「成人1回50mgを1日2回経口投与、効果不十分な症例には1回100mgを1日2回投与」となっている。シタフロキサシンは日本で開発された薬剤であり、今回の承認は世界初となる。

 現在、ニューキノロン系抗菌薬は、経口製剤として13種類が臨床現場で使用されているが、一方で近年、これら抗菌薬の使用が多くなるにつれ、呼吸器感染症や耳鼻咽喉科領域感染症の主要原因菌(肺炎球菌、インフルエンザ菌)での各種抗菌薬への耐性化や、尿路感染症の主要原因菌(大腸菌)のキノロン耐性化が大きな問題となってきている。

 シタフロキサシンも、ほかのニューキノロン系抗菌薬と同様、細菌のDNA複製に必須であるDNAジャイレースおよびトポイソメラーゼIVを阻害し殺菌的に作用するが、同薬の特徴は、これらの酵素に対する活性阻害が強いことである。このため、従来のキノロン系抗菌薬に比べて抗菌活性が強く、特に肺炎球菌、腸球菌属、緑膿菌、大腸菌に対して強い抗菌活性を示す(キノロン耐性肺炎球菌、キノロン耐性大腸菌を含む)。また組織移行性も良好で、ほとんど代謝を受けずに未変化体のまま尿中に排泄される点も特徴的である。

 こうした特徴からシタフロキサシンは、重症例や再発・再燃例、耐性菌による感染が疑われる症例を含め、呼吸器感染症、耳鼻咽喉科領域感染症、尿路感染症などに広く使用されていくものと考えられる。ただし承認までの臨床試験結果では33.5%の副作用発現が報告されており、特に下痢や軟便の発現頻度は、比較対象薬となったレボフロキサシン(商品名:クラビット)やトスフロキサシン(商品名:オゼックス、トスキサシン)より高値であったことが報告されているので、注意が必要である。