2008年1月25日、抗悪性腫瘍薬ソラフェニブトシル酸塩(商品名:ネクサバール錠200mg)が製造承認を取得した。今回承認された適応は「根治切除不能または転移性の腎細胞癌」であり、用法・用量は「成人1回400mgを1日2回経口投与」である。

 腎細胞癌は、自覚症状が乏しく、早期発見や治療が難しい悪性腫瘍の一つとされている。画像診断技術の進歩により早期診断は可能になっているものの、いまだに進行例や再発例が少なくない。

 治療法としては、腎臓摘出術をはじめとする外科的な治療が最も一般的であるが、発見時に進行または転移している症例などには、インターフェロンα(商品名:スミフェロンなど)、インターフェロンγ-1a(商品名:イムノマックス-γ)、インターロイキン2製剤のテセロイキン(商品名:イムネース)など、これまでは「サイトカイン製剤」を使った免疫療法が行われてきた。ただし、奏効率は低く、より有効性が高い新たな薬剤の開発が切望されていた。

 今回承認されたソラフェニブは、根治切除不能もしくは転移性腎細胞癌に対して適応を持つ、世界初の経口キナーゼ阻害薬である。腎細胞癌に適応を持つ世界初の経口分子標的薬として、米国で2005年12月に承認されて以降、2007年7月までに世界60カ国以上で承認されている。

 腎細胞癌自体は、分子異常が比較的明確に解明されている癌であり、発症と進行には、腫瘍の細胞増殖と血管新生に関与する各種キナーゼの活性が深く関与している。ソラフェニブは、主にこれらキナーゼの活性を阻害することで、腫瘍の細胞増殖と血管新生を阻害する効果がある。

 ソラフェニブは、従来の治療法とは異なり、腫瘍の増殖を抑えることで無増悪生存期間(PFS)を延長することが特徴であり、世界的にも高い評価を受けている薬剤である。今春の発売以降、日本でもソラフェニブは、根治切除不能または転移性の腎細胞癌に広く使用されていくことが予想される。

 ただし国内第2相臨床試験では、高頻度(96.9%)に副作用発現が認められているので注意が必要である。主な副作用は、リパーゼ上昇(55.7%)、手足症候群(55.0%)、脱毛(38.9%)、アミラーゼ上昇(38.2%)、発疹(37.4%)、下痢(33.6%)、高血圧(27.5%)などである。また、手足症候群など、重大な副作用も報告されているので、使用に際しては添付文書の内容を熟知しておく必要がある。