2008年1月25日、タリムス点眼液(一般名:タクロリムス水和物)が、春季カタル治療薬として製造承認を取得した。適応は「眼瞼結膜巨大乳頭の増殖が認められ、抗アレルギー薬が効果不十分な場合における春季カタル」であり、用法・用量は「用時よく振り混ぜたのち、1回1滴を1日2回点眼」である。今春の薬価収載後に発売される見込みである。

 春季カタルは、I型アレルギー反応の結果として生じるアレルギー性結膜疾患の一つであり、日本眼科学会の『アレルギー性結膜疾患診療ガイドライン』では「結膜に増殖性変化が見られるアレルギー性結膜疾患」と定義されている。ここでいう「結膜の増殖性変化」とは、眼瞼結膜の乳頭増殖・増大あるいは輪部結膜の腫脹や堤防状隆起のことである。患者は、学童期から思春期の男子に多く、春から夏にかけて症状が悪化し、冬には軽くなることを繰り返す。アトピー性皮膚炎を伴う症例が多いのも特徴である。

 春季カタルの主な原因抗原としては、ハウスダストやダニなどが多く、主な自覚症状は、眼のかゆみ、眼痛、眼脂、充血などである。治療では、ほかのアレルギー性結膜疾患の治療と同様に抗アレルギー薬(点眼剤)が第一選択薬であり、重症度によってNSAIDs点眼剤やステロイド点眼剤が使用される。さらに重症例では、シクロスポリンなどの免疫抑制薬を含有する点眼剤が追加投与されるほか、経口ステロイド薬の投与や眼瞼膜下注射が行われたり、速効性を期待して乳頭切除術などの外科的治療が行われる場合もある。

 今回、承認されたタリムス点眼液は、シクロスポリンの点眼剤(商品名:パピロックミニ)に次いで、免疫抑制薬の点眼剤として春季カタルに適応を取得した2番目の製剤である。タリムス点眼液の有効成分であるタクロリムスは、シクロスポリンと並んで臓器移植の発展に大きく貢献してきた免疫抑制薬であり、さらに軟膏剤のプロトピック軟膏は、アトピー性皮膚炎に対する高い有効性が確認されている。

 タリムス点眼液は、従来のステロイド点眼剤と同等の抗炎症作用を持ちつつ、眼圧上昇などの副作用を起こす可能性が少ないため、今後、春季カタルの治療薬として使用頻度・使用量ともに多くなることが予想される。ただし、ステロイド点眼剤と同様、ヘルペスやブドウ球菌などによる感染症には厳重な注意が必要となる。また、承認時までの臨床試験では、64%に副作用が認められており、主なものは、眼の異常感(眼部熱感、眼の異物感、眼の違和感)44.2%、眼刺激20.9%、流涙増加11.6%であったことが報告されている。患者には、これらの副作用について事前に説明しておく必要があるだろう。