2008年1月25日、ホスホジエステラーゼ5阻害薬のシルデナフィルクエン酸塩(商品名:レバチオ錠20mg)が製造承認を取得した。適応は「肺動脈性肺高血圧症」で、用法用量は1回20mg、1日3回投与となっている。シルデナフィルは、勃起不全(ED)治療薬のバイアグラ錠として既に臨床使用されているが、本薬は違う商品名で、新規のオーファンドラッグとして承認を受けた。

 肺高血圧症は、肺動脈圧の上昇を認める病態の総称である。肺動脈の異常、左心系心疾患、肺疾患、低酸素血症、肺血栓塞栓などにより引き起こされる。このうち、肺動脈の異常を原因とするのが、肺動脈性肺高血圧症(PAH:pulmonary arterial hypertension)である。日本の患者数は約6000人と推定されている。

 治療は従来、対症療法が主体だったが、近年、PAHの研究が進み、その病態にエンドセリン、プロスタサイクリン(PGI2)、ホスホジエステラーゼ5(PDE5)が関与していることが判明した。そうした流れから近年、エンドセリン受容体拮抗薬のボセンタン(商品名:トラクリア錠)や、PGI2誘導体のベラプロストナトリウム(商品名:ベラサスLA錠、ケアロードLA錠)が、PAHに適応を有する薬剤として承認され、使用されている。

 今回承認されたPDE5阻害薬のシルデナフィルは、1999年に勃起不全治療薬(商品名:バイアグラ錠)として承認され、広く臨床使用されている。PDE5は、陰茎海綿体だけでなく、肺動脈平滑筋にも多く存在している。肺動脈平滑筋のPDE5の活性を阻害することで、平滑筋弛緩作用をもつサイクリックGMP(cGMP)の分解が抑制され、その結果、肺動脈圧および肺血管抵抗が低下するものと推測されている。

 シルデナフィルはED治療薬として世界で約3500万人を超える患者に使用されているが、PAH治療での使用に関しては、2000年に海外での臨床試験が開始され、2005年に米国およびEU(欧州連合)で承認されている。有用性については、海外で行われた臨床試験結果で、身体活動の制限があるPAH患者の運動耐容量や肺血行動態を改善すること、長期継続投与においても12週後の時点で認められた効果が36カ月後においても維持されていたことなどが確認されている。さらに海外の臨床試験では、PGI2製剤のエポプロステノール(商品名:静注用フローラン)との併用で改善効果が高まることも確認されている。

 日本においては、海外での臨床試験データと一部バイアグラ錠の申請資料を用いて申請が行われ、オーファンドラッグとして承認された。バイアグラ錠(青色の楕円形錠剤、25mg錠と50mgの2種類)と外見を区別する意味から、レバチオ錠20mgは白色円形の錠剤となっている。レバチオ錠は海外での評価が高く、PAH治療における使用頻度は高くなるものと推測される。

 なお、レバチオを使用する際には、バイアグラと同様、硝酸薬や一酸化窒素供与薬(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド)との併用により降圧効果が増強し、過度の血圧低下を来す危険があることに十分留意する必要がある。また、長期継続試験やエポプロステノールとの併用試験などから、副作用発現率は74.3%であり、主なものとしては頭痛(40.7%)、消化不良(13.5%)、潮紅(13.2%)、悪心(10.5%)、下痢(10.3%)などが報告されている。