2008年1月25日、片頭痛治療薬のナラトリプタン塩酸塩(商品名:アマージ錠2.5mg)が製造承認を取得した。ナラトリプタンは、現在、片頭痛治療における中心的な薬剤と位置付けられている「トリプタン系薬剤」に分類される薬剤である。日本で使用できるトリプタン系薬剤としては、コハク酸スマトリプタン(商品名:イミグラン)、ゾルミトリプタン(商品名:ゾーミッグ)、臭化水素酸エレトリプタン(商品名:レルパックス)、安息香酸リザトリプタン(商品名:マクサルト)があり、ナラトリプタンは5番目の薬剤となる。

 日本における片頭痛患者は約840万人と推定されており、1日約60万人の患者が片頭痛発作を起こしているとされる。片頭痛では、月に1〜2回、多いときは週に1〜2回程度の頻度で拍動性の強い頭痛が起こる。動くことにより悪化し、頭痛以外に吐き気や嘔吐を伴うこともある。

 これまでの研究から片頭痛発作は、セロトニン(5-HT)との関連性が強いことが確認されている。具体的には、セロトニンを投与することで片頭痛発作が治まること、5-HT 1B/1D受容体に選択的に作用する薬剤を投与すれば、セロトニン投与時に起こる悪心などの副作用が軽減できることなどが報告されている。

 トリプタン系薬剤は、この5-HT 1B/1D受容体の選択的作動薬であり、切れ味の良さが高く評価され、発作寛解薬として広く使用されている。しかし、発作時間の長い月経関連片頭痛などでは、トリプタン系薬剤の作用時間が足りずに片頭痛が再発してしまい、追加投与を余儀なくされる症例もあった。

 今回承認されたナラトリプタンは、ほかのトリプタン系薬剤よりも半減期が長い(約5時間)点が最大の特徴である。国内の臨床試験では、投与4時間後の頭痛改善効果は77%で、24時間にわたる頭痛改善効果が認められたことが報告されている。また副作用発現頻度は14.6%で、主なものは悪心(3.8%)、嘔吐(2.3%)、痛み(1.9%)であった。なお、片頭痛発作の合併症状としてもしばしば出現する悪心には、メトクロプラミド(商品名:プリンペラン)の併用が有効であることが分かっている。

 ナラトリプタンは、これまで米国、英国をはじめとして世界70カ国以上で承認されている。今後は、ほかのトリプタン系薬剤と同様、わが国でも片頭痛の発作寛解薬として広く使用されていくものと考えられる。