2008年1月21日、子宮内膜症治療薬ジエノゲスト(商品名:ディナゲスト錠1mg)が発売された。用法・用量は「1日2mgを2回に分け、月経周期2〜5日目より経口投与」である。

 子宮内膜症は、子宮内膜やそれらに似た組織が、卵巣や卵管など子宮以外の場所に現れ、その病変部が女性ホルモンの影響を受けて、月経のたびに出血・炎症を繰り返し、さらには癒着を起こす疾患である。月経痛や腰痛、倦怠感、不妊などの症状を伴い、女性のQOLを低下させる。子宮内膜症は月経とともに進行する疾患であり、近年、晩婚化や少子化で無月経期間が短くなったことなどから、患者数は増加傾向にあるといわれている。

 子宮内膜症は、閉経を迎えるか、子宮および付属器を摘出する手術を行えば根治するが、薬物療法や保存的手術では再発を繰り返すことが多い慢性疾患である。薬物療法では、子宮内膜症がエストロゲン依存性の疾患であることから、ダナゾ−ル(商品名:ボンゾ−ル)をはじめとするホルモン療法薬が使用される。中でも近年は、ゴナドトロピン放出ホルモン(Gn-RH)誘導体の酢酸ブセレリン(商品名:スプレキュア)が多く使用されるようになっている。しかし、Gn-RH誘導体は、24週間投与で自然経過を上回る骨密度の減少が報告されていることなどから、添付文書には「6カ月を超える継続投与は原則として行わないこと」と記載されている。

 今回発売されたジエノゲストは、プロゲステロン受容体に対する選択的なアゴニスト作用を示し、卵巣機能抑制および子宮内膜細胞の増殖抑制により、子宮内膜症に対する有効性を発揮する薬剤である。酢酸ブセレリン点鼻液との比較臨床試験結果では、非劣性が確認されている。また長期投与試験(52週間投与)では、投与期間中に血中エストラジオール濃度を必要以上に下げないため低エストロゲン状態による更年期様症状を起こしにくく、従来のGn-RH誘導体で見られた骨密度の累積的な減少や体重の変動を認めなていない。このことから同薬には、継続投与期間の制限は設けられていない。ただし、1年を超えて投与を継続する場合には、定期的に血液検査をするなど、患者の状態に注意することが求められている。なお現時点では、ジエノゲストは日本のみで発売されている。

 今後、ジエノゲストは、Gn-RH誘導体と並ぶ子宮内膜症に対する第1選択薬として位置付けられ、特に骨密度減少のリスクがある患者などにも長期間使用できる薬剤として、広く使用されていくものと考えられる。ただし臨床試験では、不正出血、ほてり、頭痛、悪心といった副作用が高頻度に認められており、これらの副作用症状を患者に事前に伝えておくことが必要である。また病状の経過や進行状況などによっては、外科的治療など、ほかの治療法も考慮する必要がある。