2007年12月14日、糖尿病治療薬のインスリンデテミル(商品名:レべミル注300、同フレックスペン)が発売された。適応は「インスリン療法が適応となる糖尿病」である。

 糖尿病治療では、血糖を管理し、高血糖状態によって生じる神経障害、網膜症、腎症への進行を抑えることが必要である。血糖管理に使用される薬剤としては、各種の経口血糖降下薬とインスリン製剤がある。インスリン製剤は、その使い方により、追加分泌補充用、基礎分泌補充用、両者の混合製剤に分類される。

 基礎分泌補充用の製剤としては、従来、中間型インスリン製剤(NPHヒトインスリン)が使用されてきたが、混合製剤であることから皮下吸収が一定していなかったり、血中濃度にピークがあるため、低血糖が起こりやすいという問題があった。これに対し、今回発売されたインスリンデテミルや、2001年に発売されたインスリングラルギン(商品名:ランタス注)といった「持続型インスリンアナログ製剤」は、明らかな作用のピークがなく、1日1回の投与で24時間安定した血糖降下作用を示すことから、従来製剤に比べて夜間の低血糖を起こしにくいとされる。

 インスリンデテミルは、ヒトインスリンのB鎖30位のトレオニンを除去し、B鎖29位のリジン側鎖に14個の炭素を有する直鎖飽和脂肪酸のミリスチン酸が結合した誘導体である。そのミリスチン酸が体液中のアルブミンと結合することで、生物学的活性を有する遊離型と生物学的活性を持たない結合型が平衡状態で存在し、インスリン作用が持続する。

 2型糖尿病患者での比較試験では、同じ持続型製剤であるインスリングラルギンと、ほぼ同じ血糖降下作用プロファイルを示したが、インスリンデテミルの方が、(1)空腹時血糖の個体内変動幅が少ないこと、(2)経口糖尿病治療薬と併用した場合に体重増加率が低いこと――が報告されている。また、インスリンデテミルは、pHが中性に調節されていることから注射時の刺激が少ないとされる。さらにデバイスに関しては、従来から他のインスリン製剤で使用されているフレックスペンが使用可能なので、信頼性が高く、以前からインスリン製剤を使用している患者にとっては違和感が少ないと考えられる。インスリンデテミルは、2004年に欧州、2005年に米国食品医薬品局(FDA)で承認されて以降、現在までに世界60カ国で供給されている。

 持続型製剤は、単独での使用も可能であるほか、経口糖尿病治療薬や、超速効型インスリンアナログ製剤(商品名:ノボラピッドほか)との併用が有効であることが分かってきている。そうしたことから、デテミルをはじめとする持続型インスリン製剤は、使用頻度や使用量が今後多くなっていくものと考えられる。使用に当たっては、主な副作用(注射部位反応や重篤な低血糖症状など)をきちんと把握するとともに、従来のインスリン製剤と同様、患者に対する使い方の指導が重要になってくるだろう。

 なお、持続型製剤として先行して発売していたインスリングラルギンは、カートリッジ型製剤におけるデバイス(インスリン注入器)の不具合から、一時期、使用が制限されていたが、10月初旬に販売が再開されている。