2007年10月19日、抗悪性腫瘍薬のネララビン(商品名:アラノンジー静注用250mg)が製造承認を取得した。適応は「再発または難治性のT細胞急性リンパ性白血病とT細胞リンパ芽球性リンパ腫」である。薬価収載後に発売される見込みである。

 T細胞急性リンパ性白血病T-ALL)、T細胞リンパ芽球性リンパ腫T-LBL)は、高率に縦隔腫瘤と骨髄浸潤を伴い若年男性に好発する「高悪性度リンパ腫」の特殊型である。悪性リンパ腫の中でも、T-ALLとT-LBLはまれな疾患であり、両疾患合わせて年間新規患者数は約500人程度と推測されている。

 治療法としては、多剤併用化学療法を中心とした標準的治療が確立されており、自家および同種造血幹細胞移植の功績もあって、約半数の患者で治癒が期待できる状況になっている。しかし一方で、これらの標準的な治療法に反応しない難治例や、再発・再燃例の予後はきわめて不良であり、臨床現場では、従来の治療法を上回る新しい治療法が熱望されていた。

 今回、承認されたネララビンは、9‐β‐D‐アラビノフラノシルグアニン(ara-G)のプロドラッグであり、体内でT-細胞に高い選択性のあるara-Gへ変換され、その活性体であるara-GTPが、DNA合成を阻害することで抗悪性腫瘍効果を発揮する。海外では、2005年10月に米国、2007年8月に欧州で承認されている。日本では、患者団体から早期承認の要望が出ていたこともあり、厚生労働省の未承認薬使用検討会議でも取り上げられていた。2006年6月には希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)にも指定され、米国で実施された海外臨床試験の成績に基づいて、今回の承認となった。

 今回のネララビンの承認により、T-ALLやT-LBLの治療成績が向上することが期待される。ただし、海外での臨床試験などでは、ネララビンには用量規制因子としての神経毒性(しびれ感や錯感覚などの末梢性ニューロパシー、意識レベルの変化、痙攣などの中枢神経障害など)が報告されている。投与後は、神経系の障害を特に注意深く観察するとともに、万が一、神経系障害の徴候が認められた場合には、重篤化するおそれがあることから、直ちに投与を中止し適切な対応を行う必要がある。