2007年10月19日、遺伝子組み換えヒト血清アルブミン製剤(商品名:メドウェイ注5%、同25%、ステム注5%、同25%)が製造承認を取得した。適応は「アルブミンの喪失(熱傷、ネフローゼ症候群など)及びアルブミン合成低下(肝硬変症など)による低アルブミン血症、出血性ショック」である。アルブミンの遺伝子組み換え製剤は、米国やEU(欧州連合)でワクチン等の添加剤としては承認されていたが、アルブミン補充目的で承認された製剤としては本薬が世界初である。

 血清中のアルブミンは、血液の膠質浸透圧の80%を維持し、アルブミン1gで20mLの水分を保持している。アルブミン製剤では、こうしたアルブミンの機能を期待して(1)出血性ショックなどに対して血漿膠質浸透圧を維持して循環血漿量を確保すること、(2)体腔内液や組織間液を血管内に移行させることで治療抵抗性の重度の浮腫を治療すること――を目的に使用される。

 従来のアルブミン製剤は、ヒトの血漿を原料としており、日本ではその半数を海外からの輸入に頼っていた。国内では、日本赤十字社が献血で集めた血液を原料に生産しているが、献血量が減少している昨今、将来的な安定供給が危ぶまれている。また、現在の処理技術では、未知のウイルス等の感染の可能性を完全に否定できないなど、安全性確保の面でも問題が残されている。

 その点、今回承認されたアルブミン製剤は、血漿を使用せずにピキア酵母により産生・精製した製剤であるため、安定供給が可能であり、感染のリスクが少ないといったメリットがある。臨床効果についても、従来のアルブミン製剤との比較試験で、同等であったことが報告されている。

 この製剤は今後、内科・外科を問わず、従来のアルブミン製剤と置き換わる形で、各診療科で広く使用されていくものと考えられる。ただし、今回の承認と同時に、厚生労働省から下記のような「留意事項」が発表されているので、理解しておく必要がある。

遺伝子組み換え人血清アルブミン製剤の使用に当たっての留意事項(概要)
  1. 製剤産生のために使用されたピキア酵母に対するアレルギーの懸念が完全には否定できないことを患者に説明し、理解を得るように努めること。
  2. 血漿由来のアルブミン製剤と同様、「血液製剤の使用指針」を参考にし、蛋白質源としての栄養補給などを目的とした不適切な使用を避けること。