2007年10月19日、二次性副甲状腺機能亢進症治療薬シナカルセト塩酸塩(商品名:レグパラ錠25mg、同75mg)が製造承認を取得した。承認された適応は「維持透析下における二次性副甲状腺機能亢進症」である。薬価収載後に発売される予定である。

 二次性副甲状腺機能亢進症とは、慢性腎不全の進行に伴って発症する、透析患者にとって主要な合併症の一つであり、副甲状腺から副甲状腺ホルモンPTH)が過剰に産生・分泌された状態をいう。特に維持透析下では、腎機能低下によるリン貯留やビタミンD活性化障害のために、二次性副甲状腺機能亢進症が頻発することが知られている。PTHには骨からのカルシウム流出(骨吸収)を促進する作用があるため、これが過剰産生・分泌されることで、骨痛や関節痛を伴う「線維性骨炎」や、動脈硬化などの心血管系障害の原因にもなる「異所性石灰化」(骨以外に石灰化が起こる病態)を引き起こす。

 従来から、二次性副甲状腺機能亢進症の治療には、不足する活性型ビタミンD3を補う目的で、活性型ビタミンD3製剤であるカルシトリオール(商品名:ロカルトロールほか)などが使用されている。しかし、活性型ビタミンD3製剤は、PTH抑制効果は確実ではあるものの、同時に小腸からのカルシウム吸収能も上昇させるため、投与量を増やすと高カルシウム血症を引き起こす危険があり、PTHを抑制するために十分な量を投与できない場合があった。

 これに対し、今回承認されたシナカルセトは、副甲状腺細胞表面のカルシウム受容体に直接作用することで、血清カルシウム値を上昇させずにPTHの分泌を抑制するとともに、血清リン値をも低下させる薬剤である。その作業機序から、カルシウム受容体作動薬(calcimimetics)とも呼ばれている。海外では、米国を始め、EU、オーストラリアなど30カ国以上で承認されている。日本では、2000年から血液透析患者を対象とした臨床試験が行われており、ようやく今回の承認となった。

 今後、シナカルセトは、透析患者の二次性副甲状腺機能亢進症の治療に多く使用されていくものと考えられるが、海外の試験では、長期使用により悪心や嘔吐など、消化器関連の副作用症状が出現したことが報告されている(ただし、投与を中断するほどのものではない)。こうしたことから、シナカルセトを使用する際は、当初は少量から投与を開始し、患者の状態や検査データなどを確認しながら徐々に増量していくことが必要と考えられる。