放射性医薬品塩化ストロンチウムSr-89)(商品名:メタストロン注)が、2007年7月31日に製造承認を取得した。9月21日に薬価収載され、まもなく発売される予定である。適応症は「固形癌患者における骨シンチグラフィで陽性像を呈する骨転移部位の疼痛緩和」である。従来の治療法(手術、化学療法、内分泌療法、鎮痛薬、外部放射線療法など)でコントロールできない骨転移による癌性疼痛に対し、疼痛緩和を目的として使用する静注用薬剤である。

 Sr-89は、物理学的半減期50.5日の純β線放出核種で、同族体のカルシウム(Ca)と類似した体内動態を示し、Ca代謝が亢進した骨転移腫瘍に選択的に集積する特徴を有している。Sr-89は、集積した骨組織でβ線を放出し、腫瘍細胞や造骨細胞、破骨細胞に対する直接的な放射毒性効果を発揮することなどにより、疼痛緩和効果をもたらす。

 また、Sr-89は、透過性の高いγ線を放射しないため、治療を受ける患者も不必要な放射線暴露を受けず、医療スタッフや家族など周囲の人にも影響を及ぼさない。なお、治療に使用される放射性医薬品では、投与患者の退出基準が定められている。具体的に厚生省(当時)の通知「放射性医薬品を投与された患者の退出について」(平成10年6月30日 医薬安発第70号)では、Sr-89の退出・帰宅基準が200MBq(1回あたり)とされているが、今回承認されたメタストロン注の用法・用量は、最大投与量が141MBqなので、外来治療も可能である。

 メタストロン注は、欧米では放射線内用療法剤として、前立腺癌や乳癌などの骨転移による疼痛緩和に広く用いられている。現在、世界42カ国で承認・使用されており、侵襲性が少ないこと、骨転移腫瘍患者の疼痛緩和に有用性が高いことなどが高く評価されている。

 副作用としては、国内外の臨床試験で投与初期の一時的疼痛増強などが報告されているほか、高頻度に起こり注意が必要なものとして、血液毒性(白血球数減少、血小板数減少など)がある。したがって投与に当たっては、骨髄機能をモニターし続けることが必要であり、反復投与する場合には、前回投与から少なくとも3カ月以上の間隔を空けるなどして骨髄抑制の回復を待つことが必須である。