「ケテック錠300mg」の添付文書(2007年8月改訂・第10版)より

 2007年8月、経口抗菌薬のテリスロマイシン(商品名:ケテック錠)の添付文書が改訂された。具体的には、警告欄が新設され、「意識消失、肝炎等の重大な副作用があらわれることがあるので、他の抗菌剤が使用できないか、無効の場合にのみ適用を考慮すること」と記載されるとともに、投与禁忌の対象に「重症筋無力症の患者」が追加された。

 テリスロマイシンは、新規構造を有する世界初のケトライド系経口抗菌薬として、2001年欧州連合(EU)で承認されて以降、世界各国で使用されている。呼吸器感染症、副鼻腔炎、歯科感染症の主要原因菌に適した抗菌スペクトルと強い抗菌力を持ち、ペニシリン系およびマクロライド系抗菌薬に対して耐性を獲得した肺炎球菌(PRSP、ERSP)にも優れた抗菌活性を有することが特徴である。

 今回の添付文書改訂は、今年2月に米食品医薬品局(FDA)がテリスロマイシンの添付文書改訂を指示したことを受けてのものである。FDAは2月に、テリスロマイシンに意識消失などの副作用があることから、適応症の一部を削除するとともに、禁忌に重症筋無力症を追加した。だが当時は、日本の適応症と欧米の適応症が異なっていること、発表以前から厚生労働省の『医薬品・医療用具等安全性情報』などで意識消失や肝機能障害などの副作用について注意喚起が行われていたことから、添付文書改訂が見送られていた。この経緯については、既に2007年4月12日付けの本稿でも紹介している。

 その後、3月30日にEUでもFDAと同様の処置が発表されたことを踏まえ、薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会は8月2日に、テリスロマイシンの安全性について更なる検討を行い、その結果、欧米での安全対策措置に合わせることが必要だとの結論に達した。これを受けて、厚生労働省医薬食品局安全対策課長通知および製薬会社の自主改訂により、わが国でもテリスロマイシンの添付文書改訂が行われたのである。

 今後、テリスロマイシンの投与に当たっては、意識障害、視野調節障害、霧視などの副作用が起こり得ることを再認識するとともに、就寝前投与を原則とし、服用中は自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事しないよう、これまで以上に徹底した指導を行うことが必要であろう。